ハンバーグ「第4世代」が人気を集める納得の理由 店増える「進化系ハンバーグ」とは何なのか

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釜元はん米衛もかなり和へ振っており、鈴木氏は「ハンバーグは国民食ですし、もう和食と言っていいのではないでしょうか」と話していた。ラーメンがグルメ化し、女性や外国人にウケるようになった1990年代、続々と登場した博多一風堂ほかのチェーンが、作務衣を制服にするなど演出も和に振ったことが思い出される。もしかすると、日本独自の進化をしてきたハンバーグも、和に振ったことから地位が上がるのかもしれない。

ハンバーグとご飯
ご飯に合う「和食系」ハンバーグが続々と増えている(撮影:今井 康一)

「挽肉と米」という名前にもインパクトがあったことから、似た名前をつけた店がすでに各地で出現し、淘汰も始まっている。その様子は少し前の高級食パンブームを彷彿とさせるものある。

ハンバーグが一般的になったのは1960年代

今の進化系ハンバーグの流行は、ハンバーグの第4次ブームにあたるわけだが、そもそもハンバーグはいつから日本で親しまれるようになったのだろうか。

ハンバーグが一般的になったのは、1962年にチルドハンバーグのマルシンハンバーグが登場して以降。当時、マルシンフーズの営業マンは、市場で働く人たちから「それはさつま揚げのお化けかい?」と言われたほど、ハンバーグの知名度は低かった。帝国ホテルの村上信夫氏が定番のハンバーグを『きょうの料理』で紹介したのは1968年だ。その後、1970年以降にファミレスが登場し、親しみやすい料理としてハンバーグが人気になったことで第1次ブームが起きた。

第2次ブームが起きたのは、ハンバーグが家庭料理として普及していった1980年年代。「市販品のハンバーグがどんどん伸びて、お子さんの好きな料理、お母さんの得意料理、サラリーマンのランチなど、いろいろな領域でハンバーグが1位になっていくんです。1976年にハウス食品のハンバーグヘルパー、1978年に丸大食品のチキンハンバーグなどが登場し、家庭用のレトルトハンバーグの品質がアップし、全国で売られるようになったこともあるでしょう」と田形氏は説明する。

それ以降しばらくハンバーグと言えば、ファミレスなど子どもを中心に家族で食べるイメージが強かったが、2005年に開業したのが「俺のハンバーグ山本」1号店。創業したのは、「挽肉と米」を立ち上げた1人、山本昇平氏である。

恵比寿に開業した「俺のハンバーグ山本」は大人気になって、第3次ハンバーグブームを巻き起こした。同チェーンは店舗を増やし、2016年からは「山本のハンバーグ」と名称を変えて展開を加速していく。「極味や」も、福岡で2001年に焼き肉屋を創業したのが最初。どちらも飲食業としてはもちろん、肉の扱いでもプロフェッショナルだ。

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