ハンバーグ「第4世代」が人気を集める納得の理由 店増える「進化系ハンバーグ」とは何なのか

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人件費を節約するため、人を減らす傾向が強い時代に、38人まで座れる店でふだんは4人、多忙な時間帯で5人が厨房で働く。しかしそのこだわりの結果、「お米がめちゃくちゃおいしい、お肉がおいしいというお客様の声をいただいています。中には、普段0.5合しかご飯は食べないけれど、おかわりして1.4合食べたという女性もいらっしゃいました」と鈴木氏は話す。

各地でハンバーグ専門店が増える中、中目黒でも競合店が出てくるのではないかと聞いたところ、鈴木氏は「池袋がそうなっているように、ハンバーグ店が増えればハンバーグ好きな人が集まってきます。進出は、むしろありがたいです」と話す。

店内
38人まで座れる店は、昼ともなると大行列ができる(撮影:今井 康一)

ブームの火付け役は「挽肉と米」

ところでこの流行はいつ、どのようにして、なぜ始まったのか。

「実は、進化系ハンバーグという言葉を最初に使い始めたのは私で、2009年頃でした。当時は冷やしハンバーグだとか、クラウンメロンを練り込んでソースにも使うハンバーグだとか、変わり種のものを指していたんです」と話すのは、日本ハンバーグ協会のバーグマン田形理事長だ。

ところが、2020年6月に東京・吉祥寺でハンバーグ専門店「挽肉と米」が開業し、翌年3月に渋谷に2号店を開業。渋谷にはすでに、パルコがリニューアルオープンした2019年11月に福岡から「極味や」が進出していたことから注目され、ブームが始まった。

「挽肉と米」は、店員があえて小ぶりにしたハンバーグを目の前で焼く、極味やは客がハンバーグを焼くという違いはあるが、どちらも釜元はん米衛と同様、牛肉100%のハンバーグであること、炊き方や産地にこだわったご飯を提供することを謳う。

「今の進化系ハンバーグは、ご飯とハンバーグの親和性をすごく高めたことに特徴があります。ソースも、あえて定番の大葉・大根おろしを避け、茶葉とバジルのペーストや自家製刻みレモンといった、和風の独自の薬味やソースを出す、生卵とハンバーグをご飯に載せ卵かけご飯の要素を加えるなど、より日本人にウケるスタイルがどんどん広がっています。ハンバーグそのものも、肉の中身や焼き加減にこだわっています」と田形氏。

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