真のグローバルリーダーに求められるもの 多くの日本のリーダーは勘違いをしている

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「教育改革では、アウトプットについて議論するべきではない。アウトプットの話をするから、千差万別の問題意識が出てくる」(撮影:梅谷秀司)

葛西:しかし皆が欲望を解放すれば、社会は形成されません。

山折:されません。僕らの学生時代はマックス・ウェーバーの禁欲、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』という本を読んで、まさに資本主義の発達プロセスには、禁欲の精神が一方で重要な役割を果たしており、それがあってはじめて成り立っていたのだと学んだものです。

葛西:禁欲と似ている言葉と思うのですが、無私の心というのはいちばん大切なことだと思います。たとえば、国鉄を分割民営しなくてはいけないという議論のときに、我々が何を考えたかといえば、日本の鉄道網の機能を健全に、持続的に維持、発展させるために何が必要かという観点で考えました。それによって自分が余分なお金を手に入れようとか、あるいは出世をしようとか、そんなふうには思わなかった。でも、そう思った人もいるんです。私欲が先に立つということで軽蔑すべき人間ということになります。どうも人間のビヘイビア(行動)を全部損得で計ろうという人がいます。禁欲を嫌う心はそれと同じでしょう。

読み、書き、そろばん、そして考えること

山折:最後に日本人の教育について、まとめていただきましょうか。

葛西:基礎の知識として「読み、書き、そろばん」があります。これを徹底的に鍛えることによって、それ以外のことがすべてできるようになる“土台”ができるということです。教育改革では、アウトプットについて議論するべきではない。アウトプットの話をするから、千差万別の問題意識が出てくるわけです。本当はそうではなく、「読み、書き、そろばん」というベースをいかにつくるかを考えていくべきです。

山折:「読み、書き、そろばん」に加えて「考える」を付け加えたいですね。「読み、書き、そろばん、そして考える」という具合に。

葛西:「考える」ということでは『論語』の中に、「学びて思わざれば則ち罔(くら)し。思いて学ばざれば則ち殆(あやう)し」と。「学びて思わざるもの」というと、今の官僚を思い出します。「思いて学ばざるもの」というと、全共闘を思い出します。

「学び、思い、行わなくちゃいけない」のです。学ぶときには、「学びてときに之(これ)を習う」という言葉がありますね。反復練習して完全に自分のものにしないと、その知識は役に立たないということです。『論語』を最初に読んだ時には、「こんなつまらないもの」と思いましたけれども、あとで考えてみると、結構いいことを言っておりますよ。

山折:どうやら、結論が出たようであります。ありがとうございました。

葛西:こちらこそ、ありがとうございました。

山折 哲雄 こころを育む総合フォーラム座長
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