ここに働く人々の意識の変化が加わった。
フリーランサーやギグワーカーなどの出現によって、組織としてではなく「1人で働く」ことに対する抵抗感が薄れてきている。
従って、企業から「自分のキャリアは自分で築きなさい、そのために何を学ぶかも自分で決めて自分で勉強しなさい」と言われても、さほど驚かなくなっている。
日本でも、外資系企業をはじめとするジョブ型の雇用制度を採用している企業では、もともと「キャリア自立」の考え方に慣れており、「キャリア自立」の考え方に対して特に驚きはしない。
しかし、職能資格制度というしくみは本来的に「キャリア自立」という考えに馴染まないわけであるから、それが導入されている企業で働いている人々は、本当は驚かないといけないのである。
人に投資しない矛盾
日本企業の多くが採用している職能資格制度は、長期にわたって人に投資することが前提の人事制度である。
しかしながら、人に投資をすべき制度を導入しておきながら、人への投資を減らしてきた。
ここに、「人」を基準とした人事制度なのに人に投資しない、という矛盾が存在するのである。
それでは矛盾を解消するには今後はどうすれば良いのだろう。アプローチは大きく2つある。
1つ目のアプローチは、初心に返り、現在の職能資格制度を維持したまま、人への投資を増やすことである。
大学卒業後に新卒で入社して60歳の定年まで在籍し、さらには定年後の再雇用まで含めると、40年以上同じ会社で働くことになる。
1つの職種だけでは飽きてしまうだろう。
またその40数年間には必ず仕事に必要なスキルは変わるので、新しいスキルの習得も不可欠であろう。これを職能資格制度の設計思想通り、会社主導で行うのである。
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