焼肉ライク、快進撃も通って感じた「一抹の不安」 「いきなりステーキの二の舞い」がちらつく要因

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スターバックスの実質的な創業者であるハワード・シュルツはこのときすでにCEOではなかったものの、事態を鑑みて、CEOに復帰。世界中のパートナー(スタバでは働いている人のことをパートナーと呼ぶ)を集めて、あらためてスタバが持っている「コンセプト」や「理念」を伝え、共有し、もう一度スターバックスがスタバらしさを取り戻すように働きかけたという。

実際、シュルツはこのような「コンセプトの再確認」以外にも実質的な経営改善に向けた取り組みを行っている。

しかし、その経営改革の本丸はあくまでも「コンセプトの再確認」であり、経営の合理化ではなかった。そしてそれは、スタバの改革という意味では正解であった。

この点において、チェーンストアにおいて「コンセプトの共有」がいかに重要であるのかがよくわかるだろう。

特に創業時に広く顧客に受け入れられ、急激に店舗数を拡大していったチェーンストアほど、間口を広げよう、より多くの人に来てもらおうと思うがゆえにコンセプトがないがしろにされ、良くも悪くも「なんでもあり」の状態になって逆に顧客満足度が下がるということは往々にしてある。

焼肉以外のメニューも増加の一途な「焼肉ライク」

さて、焼肉ライクのことである。

現状では、焼肉ライクが行っている経営の多角化や新しい試みは、その強みとして考えられているようだ。焼肉ライクの有村壮央(もりひさ)代表は、「ワンデー・ワンアイデア」という、1日に1つは新しいアイデアを出すという気風が同社にあると述べている。このようにして出されたさまざまなアイデアが、矢継ぎ早に施策に反映されているのだ。

しかしこれは同時に、「結局、何をしたいのかわからない」という、一般人からの認識につながりかねないこともまた事実である。

「ワンデー・ワンアイデア」によって店舗で実施されたものは、たとえば松坂牛を用いたメニューの開発や、アルコールメニューの増加(飲み放題なども行っている)、また焼肉以外にもジンギスカンやすき焼き、焼き麻婆豆腐などのメニューの開発など、さまざまな取り組みが行われている。

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