焼肉ライク、快進撃も通って感じた「一抹の不安」 「いきなりステーキの二の舞い」がちらつく要因
しかし、焼肉ライクはそもそも、「ひとりで焼肉を食べたい」とか「店員とのコミュニケーションコストを減らしたい」という消費者のニーズを汲み取り、成長したチェーンだ。
一方、家族向けの店で求められるニーズは違う。ゆっくり過ごせることや、大人数で賑やかに食べてもさほど他の客に支障がないことなど、独特のニーズを満たさなければならない(実際、これらの需要を満たして成長しているのが「焼肉きんぐ」であろう)。
そして、この2つのコンセプトは、具体的な店舗運営において衝突する。たとえば焼肉ライクの自慢である「無煙ロースター」がそのよい例だ。これは、1人で1台使う分にはいいのだが、2人で1台と使うとなるとさすがに窮屈だと筆者には感じられる(ファミリー向け店舗に限らず、駅ナカ店などでも対面のテーブル席はあるので、気になる人は確認してみてほしい)。
これでは焼肉ライクが自慢としていることが、不完全燃焼のまま、あいまいな形でしか提供されない。
したがって、郊外店舗の増加によって、焼肉ライクが初期から持っていたコンセプトに揺らぎが出てしまうのではないか。「ひとり焼肉」というコンセプトが失われ、焼肉ライクのターゲッティングが曖昧になる可能性があるのではないか。
コンセプトを見失うのは珍しいことではない
しかし、外食チェーンがこのようにコンセプトを見失ってしまう例は決して珍しいことではない。
例えば今年の8月に業績不振の責任を取って社長が辞任した、いきなり!ステーキもその代表例である。
筆者は以前、こうした、いきなり!ステーキの凋落について、「おひとりさま」の価値を徹底できなかったからだと書いた。初期のいきなり!ステーキに見られた「おひとりさま路線」が、店舗の増加などによって徹底できなくなり、肉マイレージシステムを改悪したところに、その凋落の理由を見たのである。
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