「雑談も冗談も御法度」日本の職場の超深刻な欠点 「面白さ」に気づけない上司が居心地を悪くする

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ユーモアは1人で作るものではありません。積極的に誰かのユーモアに気づいて笑う。それが、次のユーモアや、ほかの人のユーモアを生み出していきます。みんなでユーモアを受け入れる環境をつくることが大事です。

とくに組織では、上司や先輩たちが、若手の面白さに気づくことや、なにかしら面白い部分を見つけてあげようという発想を持つことも重要でしょう。それは、自己肯定感や心理的安全性にもつながります。

若者の離職率の高さが問題視されていますが、コミュニケーションの多い、楽しい環境を作るといったことに加えて、「面白いところに気づく」ということも、ぜひ実践してみてほしいと思います。

笑いはお笑い芸人から学べる

面白さを見つけるという視点は、お笑い芸人から学ぶこともできます。

バラエティー番組のお笑い芸人を見ていると、後輩に対しては、どんどんいじりますが、ゲスト出演の女優さんや俳優さんに対しては、気遣いをしながら、その人の面白さを見つけていき、ここならツッコミを入れても大丈夫だろうと判断できたポイントに触れています。

『ユーモア力の時代──日常生活をもっと笑うために』(日本地域社会研究所)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

こういったテクニックは、取引先や社内でのつきあいに応用できるところがあるかもしれません。

実は、笑いは誰でもトレーニングすることができます。しかし、今の日本には、社会人がユーモアを学ぶ場がありません。学ぶ対象が、お笑い芸人だけということ自体が、日本の問題と言えるかもしれません。

本来は、親や近所の人、学校の先生、組織の上司、先輩などに面白い人がいて、「あの人みたいになりたいな」というロールモデルになっているのがいい状態です。

そもそも笑いは、一般の人から生まれる文化です。誰かがユーモアを言っても、「笑っていいのかな」という空気になるのではなく、みんなが笑いを見つけることに積極的になり、それがユーモアだと認知される文化を生み出していけるといいなと思いますね。

それがあれば、組織の居心地もよくなりますし、自分が発言するのも楽しくなる。そして、相手の発言も楽しく拾ってあげるというコミュニケーションができれば、人と人との関係性をアップデートするきっかけになるでしょう。

(後半へつづく)

(構成:泉美木蘭)

瀬沼 文彰 社会学者

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せぬま ふみあき / Fumiaki Senuma

1978年生まれ。西武文理大学サービス経営学部准教授、追手門学院大学上方文化笑学センター客員研究員、日本笑い学会理事。

1999年より3年、吉本興業にてタレント活動(NSC5期生)。著書に『ユーモア力の時代――日常生活をもっと笑うために』(日本地域社会研究所)、『なぜ若い世代は「キャラ」化するのか』(春日出版)、『笑いの教科書』(春日出版)、『キャラ論』(STUDIO CELLO)がある。

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