元気や活力を失うのはもったいない
私は、これまでに『定年後:50歳からの生き方、終わり方』(中公新書)や『人事部は見ている。』(日経プレミアシリーズ)といった、会社員の働き方、生き方に焦点を当てた著書を20冊あまり出版してきました。20年間、会社員に対する取材を中心に執筆してきたのです。
新作の『自分が喜ぶように、働けばいい。』では、「会社の仕事に前向きな気持ちを持てなくなったからといって、現状維持のまま無気力に過ごすのはあまりに策がない。かといって、いきなり会社を辞めて独立するのは、うまいやり方ではない」と書きました。
企業の成長は鈍化し、終身雇用制度や年功序列賃金を、昔のまま維持することは難しくなっています。とりわけバブルの時代に大量採用した世代が50代になって、経営の重荷になっている会社は少なくありません。
中高年以降は、50代半ばでの役職定年、60歳での定年退職、再雇用時における大幅な賃金カットなど、中高年の会社員が意気消沈するような施策がいくつも続きます。
この時期を漫然と組織に頼っているだけでは、会社生活が面白くないし、会社を離れたときにやることがなくて立ち往生してしまう人もいます。私の周囲にもそういう元会社員は少なくありません。
40代後半から50代といえば、まだ30年、40年の人生があるのに、ここで元気や活力を失ってしまうのは本当にもったいない。特に、1回しかない人生の持ち時間を面白くないことに費やすのは個人にとって大きな損失です。失った時間は取り戻せません。
そうは言っても、「お説ごもっとも。でも、じゃあどうしたらいいんだ」というのが、中高年会社員のみなさんの偽らざる気持ちでしょう。
時代は「第二の本業」を推している
私が解決策として掲げるのは、これまでどおり勤め続けるのでもなく、会社を飛び出すのでもない、第三の道。会社に勤めつつ、自分が気持ちよく過ごせる「第二の本業」を見つけることです。
もちろん、これが唯一の働き方であるとまで主張するつもりはありません。人の個性や環境はそれぞれ異なるからです。ただ取材した事例から勘案すると、多くの会社員にフィットした働き方ではないかと考えています。
最近は、働き方改革の推進やコロナ禍に対する対応によって、テレワークの推進や副業禁止の緩和、兼業を認める会社も増えています。
日本を代表する会社が、希望する社員に、週休3日や4日の働き方を認める制度を導入する方針を明らかにしたり、社員が兼業できる範囲を拡大して他社でのアルバイトなどを認める会社もあるのです。
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