元朝日記者語る「メディアが外部批判恐れる」実情 「朝日新聞政治部」著者、鮫島浩氏が斬る!

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「SAMEJIMA TIMES」にも、日々少なくとも何千人かは来るようになったけれど、今は1人ひとりの読者を大事にしてます。コメントや双方向を大事にしたり。読者との関係は非常に濃密で、私が「これいいよ」ってコメントしたら、ブワーッとみんなが読んでくれる。

新聞メディアの生き残りかた

――鮫島さん自身、組織の中と外から朝日新聞に関わってきた立場から、これからのマスメディアはどこに向かっていくとお考えですか。

少なくとも新聞に関しては「オワコン」だと断言します。紙媒体そのものは書籍などで「高級品」として残ると思いますが、今や紙の新聞がネットに勝るところは1つもありません。スピードはもちろん、クリック1つでグラフや動画が見られる。内容の深さも幅もぜんぜんかないません。

「紙でニュースを伝える」ことの意味が完全に薄れているのに、いまだに大手新聞社は「紙の新聞こそがジャーナリズムの権威」みたいな顔をしている。国民から「新聞はダメになった」とそっぽを向かれるのも無理はありません。

ただ、新聞はオワコンだとしても、権力を批判するジャーナリズムの必要性が失われることはありません。だから、かつて私が特別報道部で取り組んだように「調査報道」と「オピニオン」に特化したジャーナリズムの会社として生き残る余地はあります。

あとは、社会貢献のアプローチで生き残りを図る方法もあると思います。これまで蓄積してきたジャーナリズムや取材のノウハウをパブリックに開放して、社会全体の発信力の向上をサポートする機関として、まったく新しい産業に生まれ変わる。そうでなければ、もう新聞社の社会的な存在意義はないと思います。

逆に、今日の朝日新聞のように、生き残りのために記者を囲い続け、管理統制を強めるのは社会にとって害悪しかもたらしません。自分で自分の首を絞め、かえって死期を早めることになるでしょう。

――朝日新聞の例は、企業のガバナンスや危機管理対応のあり方について、多くの企業に教訓を与えてくれるように思います。

おっしゃるように、これは明らかに企業統治の失敗、危機管理の失敗です。そして、それこそが『朝日新聞政治部』で私が伝えたかったメッセージです。

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