元朝日記者語る「メディアが外部批判恐れる」実情 「朝日新聞政治部」著者、鮫島浩氏が斬る!

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ところが、その木村社長の辞任会見の日を境に、新たな社長の下で改革派の人材は一掃され、外圧を避けることだけに汲々とする人材が実権を握るようになってしまった。

何もしがらみがないのがジャーナリズム

――鮫島さんご自身は、2021年に朝日新聞社を退職後、自身のメディア「SAMEJIMA TIMES」を立ち上げ、言論活動を展開しています。

「SAMEJIMA TIMES」では、オリジナルの記事を全文無料公開しています。もちろん巨額献金など一切受け取っていません。法律など最低限のルールを順守してさえいれば誰にも遠慮する必要がない。何もしがらみがありませんから、楽しいですよ(笑)。

これが本来のジャーナリズムだと思うんですよ。何を隠す必要もないし、自民党や統一教会の悪口言っても、朝日新聞の悪口言っても、東洋経済の悪口言っても、自由。だから信用されるのです。

一方、自分でメディアを運営していてつくづく感じるのは、「個人の発信力」が重要な時代になった、ということです。私も昔は毎日夜回り、朝回りして、政治家に食い込んで情報を取るっていうことが記者の一番の仕事だったけれども、ネット時代になって誰もが発信できる今、新聞記者の名刺を持っているからといって誰も相手にしてくれない。

相手に食い込んで情報を取るのも1つの方法ではあるけれど、効率は極めて悪い。それよりはむしろ、情報を磁石のように引き寄せる時代になっていて、引き寄せる力が強い人がスクープを取れる。

だから私は若い人にも、「特ダネとかスクープが取りたければ、まずは発信力を磨きなさい」と言っています。発信力がない人間には、もう誰もしゃべらないんですよ。一方で、「この人に情報を持ち込めば発信力があるから広めてくれる」という人には情報が集まってくる。実際、『朝日新聞政治部』を書いてから、私の元に朝日新聞の中の不祥事とか、スキャンダルとかの情報もいっぱい来ますよ。

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