キーウ大学の真っ赤な建物に込められた深い意味 過ちが繰り返されないように未来を学生と考える

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先人の残した多くの記録をクリティカルに読むと、「今の課題が人類にとってどのようなものか」少しずつ見えきます。クリティカルというのは、批判するのではなく、「なぜ?」という疑問を持ち、その答えを自分で見つけることです。1つの本で答えが見つからない場合は、次々と別の本を探します。

未来のリーダーは図書の力を借り、今の課題の理由を的確に把握し、適切と思われる解き方を見つけます。次に、それを文章にして研究計画を立てます。

教授陣はこれを読んで、その課題の設定が適切なのか、本当にその方法で問題が解けるのか評価します。不十分だと思えば、必要な過去の記録を何度でも検証してもらいます。

イギリスの大学院の博士課程は、これを終了するとMPhil(Master of Philosophy)として、博士号取得の候補者の切符を手に入れます。

次に候補者たちは、今のデータを集めて、実際に課題を解いていきます。答えが出ると論文という文書に残す準備に入ります。この際、教授陣は客観性を確認します。

これは「異なる立場の人が読んでも、納得できる」ように書くことです。具体的には、論文に記載した手法で課題を解けば、適切な答えが出るという研究の再現性です。

イギリスなどでは、審査官は候補者とは縁もゆかりもない他大学の研究者です。彼らは、研究分野に価値のある客観的な発見かどうかを判断します。

なぜ自分たちで考えるのか

知の扉の内側でも、外の世界と同様に、人は過ちを犯します。為政者と協力したり、考えを吹聴し若者の「誘導」を試みたりする者も、中にはいたかもしれません。これを防ぐのは、「客観性」の追求で、やはり図書館が頼りです。過去の英知に問いかけることで、偏った主張に対して疑問を持ち、議論することが可能になります。

この時に役に立つのが、ディベートです。特定の議題について、賛成反対の立場から徹底的に議論します。その際、優劣を決めるのは第三者である聴衆で、彼らは各立場の主張のどちらに、より明確な根拠があり、客観的であるかに基づき採決をします。

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