プーチンの「絶対ブレない」日本に対する本音 大国として振る舞うロシアが認める大国

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プーチン大統領から見た日本とは(写真:Andrey Rudakov/Bloomberg)
ロシアによるウクライナ侵攻が始まって3カ月。連日のようにウクライナにおける悲惨な映像を見るにつけ、ロシアやロシア人に対するイメージを悪くしている人がいるかもしれない。が、政府による方針をそのまま国や国民に結びつけることは、さらなる悲劇や差別を生むことになりかねない。
本稿ではロシア軍事・安全保障の専門家である小泉悠氏の新著『ロシア点描 まちかどから見るプーチン帝国の素顔』より、プーチン大統領が日本をどのように見ているのかについて考えてみたい。

ロシアを「大国」たらしめているもの

ロシアの国力は、数字だけを見れば大きいとはいえません。日本の45倍という広大な国土を持ちながら、人口は1億4400万人程度で、それも減少傾向にあります。

ロシアの人口統計というのは「都市部」と「農村部」に分かれており、これを見ると2000年代までは農村部では人口増加が続いていたのですが、今や人口減少傾向は都市だけの現象ではなくなっているようです。

経済力を見ても、人口は日本と2000万人ほどしか違わないのに、GDPは日本の3分の1以下です。韓国とほぼ変わりません。2020年の国別ランキングは11位と、トップ10にも入っていません。

それでもロシアは、あたかもアメリカと対峙する「大国」のように振る舞っており、実際、ニュースでもロシアの話を聞かない日はありません(あまりいいニュースでないことが多いのが残念なのですが)。

言い換えるならば、ロシアを「大国」たらしめているのは意志の力、つまり自国を「大国」であると強く信じ、周囲にもそれを認めさせようとするところにあるといえるでしょう。

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