米「年収1700万円未満」学生ローン免除の衝撃 米政権、世帯年収に応じて返済額を一部免除へ
共和党全国委員会はこの計画を「バイデン大統領による富裕層救済」と非難する声明を発表した。
共和党のベン・サッセ上院議員も、今回の措置は「ブルーカラー労働者がホワイトカラーの大学院生の補助金支援を行うことを強要するものだ。多くのアメリカの若者に多額の借金を背負わせる水準以下の高等教育分野が責任を負うことを求める代わりに、政権の一方的な計画は崩壊したシステムに洗礼を施すものだ」と語る。
バイデン大統領が学生ローン返済免除のために立法によらず大統領令を行使したため、法的な異議申し立てが予想される。だが法廷で誰が主張を繰り広げる立場にあるかは不透明だ。法学誌『バージニア・ロー・レビュー』に最近掲載された記事では、その答えは「誰でもないかもしれない」。例えば、州政府は連邦補助金の運営に口を挟む権限をほとんど持たないのだ。
毎月の返済額を軽減する措置も
また、バイデン大統領は返済システムについて、多くの借り手の毎月の返済額を軽減するさまざまな改革を提案した。これは教育省による規則作成を通じて行われる必要があるものだ。
大統領は、大学院を除く大学費支払い向けローンを抱える借り手の返済額の上限を、収入ベースで定められる返済プランのほとんどで導入されている現行の月額裁量所得の10%から5%へと引き下げることを目指している。
バイデン大統領はまた、(学生ローンの)返済をしている人の月々の利息を政府が負担することも求めている(たとえその返済額がゼロでもだ。なぜならそもそもの収入が低いのだから)。これは債務残高がふくらむのを防ぐためだ。現行のシステムでは利子が生じて、月々の返済をしているのに借金がさらにかさんでいくという状態に陥る借り手は多い。
多くの民主党議員、そして進歩的なグループは、人種間の経済格差に対処するには5万ドルの返済免除が必要になるだろうと主張してきた。黒人を初めとする非白人の借り手は、白人と比べて債務残高の平均が高いとの報告があるからだ。
「ペル・グラントの受給者に対する返済免除額の倍増を目指せば、人種間の富の格差を縮小するのに役立つ」と、エリザベス・ウォーレン上院議員(民主党、マサチューセッツ州選出)は言う。ウォーレン議員は、広汎な学生ローンの返済免除を求めてきた。