米「年収1700万円未満」学生ローン免除の衝撃 米政権、世帯年収に応じて返済額を一部免除へ
しかし、大規模な債務免除は、学生ローンを支払うために生活を切り詰めた人たちに不公平だという批判がある。また、学生ローンの免除によって消費者がさらにお金を使えるようになるため、インフレが助長されると懸念を表明する経済学者もいる。
こうした中、アメリカ政府は、この経済的懸念に対処するため、救済対象を絞ることにした。
ペル・グラントを受給している学生は、2万ドルのローン減免が受けられる。借り手のおよそ60%が、ペル・グラントを受給しており、その大半は、年収が3万ドル以下の家庭出身である。教育省は、2700万人の借り手が最大で2万ドルの減免を受ける資格があると見積もっている。
そのほかの数百万人の借り手は、年収12万5000ドル以下、または25万ドル以下の世帯であれば、1万ドルの返済免除が受けられる。2021年または2020年の所得申告に基づいて査定される。
「ニュースを聞いて叫び声上げた」
「このニュースを聞いた時、寮の部屋で立ちつくし、まさに叫び声を上げました」と、学部課程を修了するのにペル・グラントと他の助成金に頼ったマリーン・ラミレスさん(25)はこう話す。
家族の中で、初めて大学に進学したラミレスさんは、助成金を使いコミュニティー・カレッジで2年学び、その後UCLAに編入。2020年に人類学の学士号を取得し卒業した後も、住居費や生活費に充てた2万5000ドルの連邦の学費ローンが残っている。
「これでほとんどが帳消しになります」とロンドン大学エコノミクス校の修士課程を修了予定のラミレスさんは語る。「今、体が打ち震えています。人生を変えるようなことです」。
だが、今回の措置には民主党内からも不公平だとする声が上がっている。
ハーバード大の経済学者で、バラク・オバマ大統領の元で経済担当トップを務めたジェイソン・ファーマン氏は、計画は「国が直面していた問題が高インフレではなく低インフレだった民主党予備選の激戦の最中に彼が約束した規模をも大きく上回る形で、数万ドルを多くの高所得家庭に不必要に提供するものだ」としている。