難病の子も地域の学校へ…「合理的配慮」って何? 「特別支援」との違いについて専門家が解説する

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例えば、理科の「生物の観察」の授業では、クラスの生徒が作成したプレパラートの微生物を、バギーに座っているためのぞき込めない京香さんにも見えるように、教員が車いすそばの壁にプロジェクターで拡大して映し出した。それによって、他の生徒もそれを見ることができ、とても役立ったという。

京香さんはプレパラートが視野に入ると、目をキョロキョロ、まぶたをパチパチさせたり、凝視したりして驚きながら興味を示した。

フライパンを握って調理に参加

家庭科の授業では、バギーのひじ置きに固定の台を作り、そこにミシンを置いて、稲田前校長の介助のもと、ミシン縫いを体験した。京香さんが手で布を押さえて、布が動いていく様子を正面から見ながら、ミシンのガタガタした振動を体で感じてもらった。

ミシン縫いを体験する京香さんと稲田前校長(写真:ご家族提供)

調理のときは、看護介助員のもと、京香さんもフライパンを握った。出来上がった料理は、京香さんも食べられるようにミキサー食にした。

テストでは、問題ごとにその部分を拡大して画用紙に貼り、京香さんに見えるようにした。さらに、問題はすべて4択に変更し、教員が読み上げて、京香さんがまばたきをすることで回答する方法を取った。他の生徒と同じ時間帯に、同じ時間内で、別室でテストを受けた。

テストを受ける京香さん(写真:ご家族提供)

このほか、京香さんは教科書に「マルチメディアDAISY(内容を音声で読み上げる教科書)」を用い、黒板の内容を書き写さず、iPadのカメラで撮った。

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