医療的ケア児を受け入れた地域の学校が行った事 2年前から始めた就学相談、ICTの活用で支援も

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特別支援学級に在籍する楓さんは算数と国語は個別学習、それ以外は通常学級で授業を受ける。緑色のタブレット固定装置はイギリス製で個人輸入した(写真:著者撮影)
インクルーシブ(inclusive)とは、「全部ひっくるめる」という意。性別や年齢、障害の有無などが異なる、さまざまな人がありのままで参画できる新たな街づくりや、商品・サービスの開発が注目されています。
そんな「インクルーシブな社会」とはどんな社会でしょうか。医療ジャーナリストで介護福祉士の福原麻希さんが、さまざまな取り組みを行っている人や組織、企業を取材し、その糸口を探っていきます【連載第5回】。

近年、本人と保護者が希望する場合、医療的ケアが必要な子ども(以下、医療的ケア児)を、地域の小中学校が就学を受け入れるケースが増えている 。文部科学省(以下、文科省)の調査では、地域の小中学校に在籍した医療的ケア児数は、2015年度は839人、2018年度は974人にのぼった(*)。

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地域の小中学校では「地域の子どもは地域で育てる」という理念のもと、「障害者差別解消法」に沿う形で障害の状態に応じた対応(「合理的配慮」と呼ばれる)をしている 。そこで、今回は地域の小学校で重度障害のある医療的ケア児がどのように学校生活を支援してもらっているかを紹介する。

小学校2年生の涼緒奈さんのケース

大阪府茨木市立耳原(みのはら)小学校(以下、耳原小)2年の藤井涼緒奈(りおな)さん(7)は、特別支援学級に在籍する。算数以外は通常学級で授業を受けている。

涼緒奈さんは出産時の低酸素脳症による脳性麻痺で、いつもバギーに座って生活する。声を出すこともできない。このため、学校の友だちが「おはよう」とあいさつすると、涼緒奈さんは口をパクパクさせて反応する。友だちが話しかけるときは、涼緒奈さんの視界に入って目や表情から気持ちを読み取る。

例えば、涼緒奈さんは興味のある話のときは目を大きく開いたり、その方向を見つめたりする。一方、興味がないとき、つまらないときは目をそらしたり、閉じたりする。 

嚥下(えんげ)障害があり、栄養を胃ろうから取るほか、唾液(だえき)や痰(たん)の吸引が必要になる。今年からは人工呼吸器を装着している。これらの胃ろう、唾液や痰の吸引、人工呼吸器を「医療的ケア」と呼ぶ。

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