「脳腫瘍で別人格」40代男性を支えた妻の受難

夫の介護と子育てをしながら公務員になった

脳腫瘍が原因で夫の性格が豹変し、暴言・暴力がエスカレート。葛藤と孤独の果てに下した妻の決断とは?(写真:buritora/PIXTA) 
子育てと介護が同時期に発生する状態を「ダブルケア」という。ダブルケアについて調べていると、子育てと介護の負担が、親族の中の1人に集中しているケースが散見される。
なぜそのような偏りが起きるのだろう。
連載第10回は、40代で脳腫瘍が発覚し、手術後、高次脳機能障害になり、性格が激変してしまった夫の介護と子育てをしながら公務員試験を受け、一家の大黒柱として働いてきた女性の事例から、ダブルケアを乗り越えるヒントを探ってみたい。

夫に脳腫瘍が発覚

宮城県在住の新田夏美さん(仮名、48歳)は、18歳で非正規公務員として就職し、同じ職場で働いていた夫と出会い、23歳で結婚。約1年後には長女、その6年後には次女が誕生し、子育てと仕事で忙しいながらも、幸せに暮らしていた。

この連載の一覧はこちら

ところが2012年のゴールデンウィーク。家族で新田さんの実家へ帰省しようとしていたところ、車を運転していた夫が道を間違える。

「自宅から近く、普段からよく通る道だったので、少し嫌な予感がしました。ゴールデンウィーク明けには、仕事帰りに夫に買い物を頼んだのですが、忘れて帰ってきてしまい、『何かおかしい』と違和感を抱きました」

そして6月のある朝、夫は起き抜けに激しい目眩(めまい)を訴え、布団に突っ伏したまま15分ほど動けなくなる。

不安に思った新田さんはその翌日の夜、夫を伴い自宅近くの病院を受診。頭部CTを撮ったところ、脳腫瘍が発覚。

すぐに大学付属病院を紹介され、精密検査を受けると、腫瘍は6センチ大になっていた。

次ページ手術を境に変わってしまった夫
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 逆境からの人々
  • 西村直人の乗り物見聞録
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 仲人はミタ-婚活現場からのリアルボイス-
トレンドライブラリーAD
人気の動画
スバリスト、トヨタ購入者とまったく異なる嗜好
スバリスト、トヨタ購入者とまったく異なる嗜好
築40年超「老朽マンション」丸ごと建て替えの大問題
築40年超「老朽マンション」丸ごと建て替えの大問題
「料理が突然、上手になる」たった1つの簡単秘訣
「料理が突然、上手になる」たった1つの簡単秘訣
実家が迷惑施設化「7戸に1戸空き家」日本の大問題
実家が迷惑施設化「7戸に1戸空き家」日本の大問題
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
持たざる国・日本に大激震<br>エネルギー危機が来る

脱炭素の移行期に化石燃料の争奪戦が勃発。天然ガスの価格は歴史的な急騰を記録しました。余波はサプライチェーンの混乱から世界経済の後退懸念、原発待望論まで広がります。資源小国の日本が生き残る道はあるのでしょうか。

東洋経済education×ICT