母親の介護がきっかけで事務職に
神奈川県在住、三井晃之さん(仮名、48歳)は、35歳の妻と小学6年生の長女、4年生の長男、1年生の次男の5人家族。
障害者施設で働いていた妻は、2014年に次男を出産し、育児休暇を取得。妻の職場は遅番・早番に加え、夜勤も土日勤務もある。2015年に職場復帰するにあたり夫婦で話し合った結果、時間的に融通が利く三井さんが家事・育児をメインで行うことになった。
三井さん自身は、現在はネットワーク製品の開発などを行う会社で事務職をしているが、2016年までの約20年間は、開発に携わる技術者だった。
事務職に転向したきっかけは、現在82歳の母親の介護だ。
母親は、三井さんの家から車で10分ほどの団地で一人暮らしをしている。
2016年までは、週末に三井さん一家が遊びに行くと、母親が手料理を振る舞ってくれた。
母親の飼い犬の名前が「ポン太」だったため、三井さんの3人の子どもたちは、「ポンちゃんばあば」と呼んで慕っていた。2016年の春には、長女は「ポンちゃんばあばんちに泊まる」と言って、楽しみにしていた。
ところが、2016年の夏ごろから母親は、お金や貴重品を失くしては、三井さんや近所に住む自分の妹に「盗ったでしょ!?」と言うようになる。
数秒ごとに同じことを何度も言ったり、随分昔のことを昨日のことのように話したり、コーヒーのいれ方がわからなくなるなど、明らかに様子がおかしい。
しかし三井さんは、仕事と家事・育児に忙しく、母親のことを気にする余裕がなかった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら