共働きで「子育てと介護」をする48歳男性の悟り

愛犬の病気も死も理解できない「認知症の母」

しかし三井さんは、約1時間後に起きて、食事の後片づけや、翌朝の準備をした。

22時過ぎると、運がよければ妻が帰ってきて、食事の後片づけは妻に任せることができた。

休日は、子どもたちを公園などに連れていき、身体を目いっぱい動かして遊ばせ、クタクタにさせて帰宅。たくさん食べさせて早く寝かせた。

「私は、家事はなるべく子どもたちが寝た後にやるようにし、お金以外のことで不自由を感じさせないようにしています。毎日息つく暇もないほど忙しいですが、なかなか普通の父親では味わえないほど密な時間を子どもたちと過ごせて、『悪くない』と思っていました」

そこに母親の介護が加わる。

仕事が終わると、作った夕飯を車に積み、子どもたちを回収しつつ母親の家へ寄り、みんなで夕食をとるようにした。

「母親に寂しい思いをさせないように」と思って始めたことだったが、そのころは末っ子が三井さんにべったりで、母親にばかりかまっていると末っ子がヤキモチを焼いてしまう。

全員を怒鳴り散らして解散

長男は気づけばハウスダストアレルギーで目が真っ赤に。「早く帰らねば」「早く寝かさねば」と焦る一方で、長女は食べるのが遅く、その間、母親は何度も同じ話を繰り返す……。

三井さんは日々の疲れもあって、最後は全員を怒鳴り散らして解散……ということもしばしばだった。

「私は、お酒を飲んでは機嫌が悪くなる父の顔色ばかりうかがう子どもでした。だから漠然と『子どもたちを幸せにしたい』というより、『同じ思いをさせたくない』という思いが強かった。それなのに介護が始まった当時は、急に私が変わってしまい、子どもたちを不安にさせたと思います。申し訳ないことをしました」

仕事や介護の疲れやストレスから、子どもを怒鳴ってしまうことが増えた。

「わかっていてもやめられなくて、怒鳴りながら『2階へ逃げろ!』と叫んでいました。手は上げませんが、子どもたちにチックが出るくらいひどく怒ってしまうのを防ぐために、怒鳴りながらも、何とか遠ざけようとしていました」

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