「脳腫瘍で別人格」40代男性を支えた妻の受難 夫の介護と子育てをしながら公務員になった

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もともと夫は仕事好きで働く意欲が強かったため、医師の勧めで3カ月間仕事を休職し、就労支援を受けることに。

就労支援が終了すると、リハビリセンターの支援員が職場との調整に入り、障害者の夫ができる仕事を配慮してもらえた。

脳腫瘍の再発

ところが2015年の春、MRI検査で脳腫瘍再発の兆候があり、7月には念のため入院してPET検査を受けることになった。

結果は再発確定。落ち込んだ夫は、「これ以上高次脳機能障害が進んで、自分のことが自分でできなくなるのは嫌だ」と手術を拒否する。

新田さんは、夫の意志を尊重するか、手術を受けるよう説得するべきか迷った。

「当時娘たちは大学2年と中学2年。まだまだ父親が必要な時期だと思い、手術を受けるよう説得しました。でも思い返してみると、夫が手術を受けないことにいちばん恐怖を覚えたのは私でした。夫が死んでしまうことへの恐怖。家族を1人で支えることへの恐怖。たぶん、1人で生きていくことが怖かったんだと思います」

夫は9月に手術を受け、生還。

退院後、抗がん剤の投与と放射線治療のため再入院。1カ月半で退院し、抗がん剤の維持療法に移行した。

11月、夫は言語聴覚士のリハビリを受けた。

リハビリ内容は、夫が座っている場所から2メートルぐらい離れた机の上の書類を取り、すぐ横の机の上に書類を置き、元の場所に戻る……という簡単なものだったが、夫はまったくできなかった。

イスから立ったところで立ち尽くし、言語聴覚士に促されて机の前に行くものの、何をしていいかわからず言語聴覚士のほうを見る。言語聴覚士に書類を隣の机に置くよう言われ、書類を持ち隣の机に置く。

しかし書類を置いたところで立ちすくみ、今度は新田さんのほうを見て、言語聴覚士から「席に戻ってください」と言われ、やっと席に戻る……といった具合に、連続した作業をすることができなくなっていた。

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