コロナ禍は2年以上が経過しているが、就活スタイルは企業側・就活生側ともに大きく変化した。
発生当初の2021年卒生の就活は、急なオンライン対応や、企業の採用の中断・縮小を余儀なくされた。いまだにその影響が残っているが、逆にコロナ禍の間でも採用人数を増やしている企業がある。それはいったいどのような企業なのだろうか。
『就職四季報 総合版』のデータを基に、コロナ禍前に就活を終えた2020年卒に比べて、コロナ禍真っ只中にあった2022年卒の採用人数が増加した企業の上位100社を抽出した。もともと採用人数が少ない企業では1名採用人数が増えただけでも比率に大きく影響するため、2020年卒の採用人数が20名以上の企業を集計の対象とし、2020年卒から2022年卒でどれほど採用人数が増えたのか百分率で算出した。
比率ではなく、シンプルに採用人数が多い企業を抽出した「コロナ禍でも採用の多い100社」は就職四季報公式サイト「シキホー!Mine」で公開中だ。こちらもぜひ企業選びの参考にしていただきたい。
テイクアウト追い風にむしろ採用を増やす外食企業
その「採用を増やした会社ランキング」の1位はスポーツ・アウトドア用品を扱うアルペン(333.3%)だ。コロナ禍でも2020年卒21名から2022年卒70名と新卒採用を増やして人員を増強し、2021年6月期は最高純益を更新した。2022年春には新宿で大型旗艦店も開業し、拡大路線を続けている。
2位は日本マクドナルド(294.2%)。他にも持ち帰り弁当『ほっともっと』を全国展開しているプレナス(16位、190.0%)や松屋フーズ(57位、147.1%)など、外食・中食業界のなかでもテイクアウトに強い企業がランクインしている。外食業界はコロナ禍で大打撃を受けた業界の一つだが、テイクアウト・デリバリー・惣菜などの中食は巣ごもり特需で市場が拡大しており、採用に関しても「攻め」の姿勢を打ち出している。
3位のユニー(288.7%)はスーパー「アピタ」や「ピアゴ」を展開する企業。2019年からドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの子会社となり、店舗運営もドンキ流の個店主義経営へと転換を進めている。そのパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスはコロナ禍でも増収増益で、2021年6月期は過去最高純益となった。傘下のユニーも積極的な採用を行っていると思われる。
ユニー以外にも、マミーマート(6位、250.0%)、いなげや(7位、225.0%)、ヨーク(8位、214.3%)など8社のスーパーがランキング内に名を連ねている。コロナ禍の内食志向で利益を大きく伸ばした食品スーパーが人員も補強しているようだ。
また、システム・ソフト業界の企業も採用を増やしている。富士通Japan(5位、262.1%)、SBテクノロジー(13位、200.0%)、NTTコムウェア(49位、154.0%)をはじめとして、100位以内に7社ランクイン。テレワーク対応などDX需要がコロナ禍で急増し、人材の確保に力を入れた企業が多かったようだ。
このほかにも、さまざまな理由によりコロナ禍で採用を増やした企業がランキングに抽出されている。ぜひ『就職四季報』やシキホー!Mineに掲載されている業績や事業内容、離職率などと併せて企業選びの材料のひとつとしてもらいたい。
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