新卒一括採用下で進む大学生の就職活動は、早期化が年々進んでいる。
文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所の「ブンナビ学生アンケート」によると3月(3月1~10日)時点の2023年卒(現在の大学4年生、大学院1年生)の内定率(内々定率)は26.9%で、前年同期の23.9%から3ポイント、一昨年前の同じ時期から12ポイント増えた。
インターンシップを実施した企業による早期選考が常態化しており、早期内定に拍車がかかっている。ただ、大手など本命企業の選考はこれからが本番で、多くの就活生が内定を得ても活動を継続している。ゴールデンウィーク前後が内定出しの山場になりそうだ。
エアラインも採用を再開
就職環境としては中長期的な人手不足を見越して採用意欲は高く、就活生に有利な売り手市場になると見られる。さらにコロナ禍の影響を受けた企業も採用を増やしている。JALが、3年ぶりに客室乗務員(CA)の採用を再開、ANAも本社勤務や地上職の採用を再開している。
では、こうした状況の中、今年の就活生はどんな企業に注目しているのか? 文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所が実施している、「就職ブランドランキング調査」から、就活生の関心が高い企業をランキング形式でまとめた。
調査対象者は、就職サイト「ブンナビ!」に登録する現在就活中(2023年春卒業予定)の大学生や大学院生で、登録者のうち、大学名を問わず約2万5000人が回答している。調査期間は2021年10月1日から2022年3月15日まで。「前半」とあるのは、同調査が就活フェーズにあわせて複数回実施しているからだ。
具体的には、3年生の4月から9月の「早期」、10月から3月中旬の「前半」、3月中旬以降から4年生の6月末の「後半」の3回。あこがれやイメージが強い就活の「早期」、インターンシップなどを経て企業を判断できるようになった「前半」、実際の説明会や面接、内定を経たあとにふりかえる「後半」と分けることで傾向の違いを見ている。
結果を見ていこう。トップは3年連続で伊藤忠商事。属性別でも男子、女子、文系でトップに立ち、理系でも4位に入っている。「朝型勤務」「脱スーツ・デー」といった働き方改革が評価されているだけでなく、昨年からのエネルギー価格の上昇で業績の拡大も続く。
集計終盤のトピックスではあるが、ウクライナ危機が加わったことで、資源確保に奔走する総合商社の社会的意義にも注目が集まっている。実際、5位の丸紅など総合商社が上位に顔を出している。
金融も強い。2位日本生命保険をはじめ、3位大和証券グループ、4位東京海上日動火災保険、8位損害保険ジャパン、9位SMBC日興証券と、トップ10に金融が5社が入っている。メガバンクが採用減や業績が伸び悩んだことで人気が落ちた一方、安定した企業への就職を希望する就活生の受け皿として保険や証券が注目されている。
6位は明治グループ(明治・Meiji Seika ファルマ)、7位は昨年に引き続き大日本印刷、10位は博報堂/博報堂DYメディアパートナーズが入った。
11位以下をみると、金融、食品、マスコミが上位を占めているのが特徴だ。そんな中、27位NTTデータといったシステム関連や、43位アクセンチュアや、44位アビームコンサルティングなどコンサルティング会社が散見される。そうした分野に将来性を見いだす学生も多いと思われる。なお理系の1位は総合56位のソニーだった。
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