4月は面接の最盛期だ。面接のほとんどは、担当者からの質疑、学生の応答で行われるが、「何かわからないことはありますか?」と途中で不明点を確認されたり、面接が終わる段階で「最後になりますが、疑問があれば遠慮なく質問してください」と言われたりすることがある。
これを「逆質問」という。キャリア採用の面接でも逆質問は定番だし、新卒採用ではさらに重要性は高い。なぜ重要なのか? 逆質問は自分を印象付ける好機だからだ。
多くの学生は面接対策を行っており、定型的な質疑応答は紋切り型になりがちだ。就活サイトが「紋切り型にならないように」と指導しても、同一の情報を多数の学生が読んで影響されるから紋切り型になるのは当然だ。
そこで、就活サイトは「逆質問でポイントを稼げ」と指導する。そして、逆質問のサンプルを提示する。私もいくつかのサイトを読んでみたが、結局は似たり寄ったり。逆質問も紋切り型になってしまう。企業が「個性がない」と嘆く原因は、過度な就活指導にあると思う。
「気になっているが聞けない」
紋切り型応答が蔓延する一方で、学生が気になって仕方がないのに聞けない質問がある。これも一種の紋切り型だ。何を聞けないのか? 何を学生は気にしているのかを調べてみたい。使用データは、HR総研が楽天みん就と共同で2021年6月に行った「2022年卒学生の就職活動動向調査」である。
面接での「タブー」として福利厚生の質問をあげる学生がとても多い。就活サイトにそう書いてあるのだ。
「いくら『自由に疑問点を質問してください』と言われても、福利厚生に関する質問は仕事のやる気を疑われるので避けねばなりません」と指導している。そして、その指導を鵜呑みにしている学生は多く、就活の常識になっている。
「福利厚生について。ネットでタブーと出てきたため、気になったが聞けなかった」(理系・上位国公立大)
「福利厚生や待遇面はどうしても聞けなかった。これらは長く働くうえで大事なことなので、どこの内定先にするかを決める際にすごく困った。しっかりおそれず聞いておけばよかったと思った」(文系・旧帝大クラス)
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