就活生が面接で悩む「福利厚生の質問はOKなのか」 本当に働きやすい?気になるのに聞けないこと

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採用ホームページを読み込んで研究する学生は多い。特に女性は熱心だ。

以前は「ワークライフバランス」などの抽象的な言葉で不安を述べるコメントが多かったが、今回調査ではより具体的な記述になっており、「説明の矛盾」を指摘している。ワークライフバランスの説明で仕事と家庭の両立をうたい、一方で女性活躍による仕事の充実、もう一方で産休や育休の取得率を掲示して家庭の安心を説明しているが、女子学生は「そもそも両立しないのでは」という素朴な疑問を抱いている。

また、結婚や出産をした女性の転勤を気にする声も多い。女性活躍などの雇用方針を抽象的にうたう企業は多いが、女子学生が知りたいことはもっと具体的だ。

「海外転勤(2~3年)について。結婚や出産は、海外への駐在に関しては、関係ないのか。中間層の社員が少ない理由(マイナスの理由で退職・転職する人が多いからなのか、その年代の採用数が少なかったからなのか)」(理系・上位国公立大)

「3年や5年単位でのジョブローテーション制度を導入しながら、女性が働きやすいとうたっている点に疑問を持っていた。家庭のある女性が、転居を伴う転勤の可能性のある企業で働きやすいというのは信憑性がいかがなものかと感じた」(文系・早慶大クラス)

「結婚や出産をした女性の転勤の有無」(理系・旧帝大クラス)

「転勤はあるのかどうか。実際に女性でも遠方に行くことがあるのか。転勤は断ることもできるのか」(理系・その他国公立大)

「同性パートナー」や「ジェンダー」

また、今回の学生コメントに、「同性パートナー」や「ジェンダー」という言葉があった。結婚すると配偶者手当や家賃補助を出す企業は多いが、その制度を同性パートナーにも適用するかどうかを聞きたかったようだ。

ここではLGBTやLGBTQの意味や歴史的経緯を説明しないが、電通が2018年に行った「LGBT調査2018」によれば、日本人の8.9%が性的マイノリティだという。欧米では同性カップルを認める国や州、企業は増えつつある。

職場における性的マイノリティの現状については、2020年に厚生労働省が「職場におけるダイバーシティ推進事業 報告書」をまとめており、回答した企業のうち、実際に「同性パートナーへの福利厚生に関する施策を実施している」企業は2割、「倫理規定や行動規範等に関連した取組を実施している」企業は2~3割程度にとどまっている。

まだ企業の取り組みは限定的だが、性的マイノリティに配慮した施策は、今後の人事施策として重要性を増してくるはずだ。

「給与や福利厚生(家賃補助など)について。結婚にまつわる諸制度に同性パートナーの存在は含まれているのか」(文系・上位私立大)

「ジェンダーについて」(文系・その他私立大)

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