学生の就職環境は回復しているといっていい。
各就職情報会社が発表する内定率状況を見ても、2023年卒生(現在の大学4年生、大学院2年生)の就職内定率はコロナ禍前の水準に戻ってきている。
リクルートが発表する就職プロセス調査によると、6月1日時点の就職内定率は73.1%。前年比4.6ポイント増で、「6月選考解禁」となった2017年以降では最高の数値だ。同じくキャリタス就活を運営するディスコが発表した6月1日時点の内定率も76.9%(前年比5.1ポイント増)と高い数字となっている。
コロナ禍があったとはいえ、中長期的には若手を中心に人材が不足するという危機感が企業側にある。そうしたことから、早い段階で学生に内定を出す企業が相次いでいる。一方、就活生は、内定を得ていても「自分に合った企業」を求め活動を継続している学生が少なくない。夏ごろまでは就職活動が続くものと予想される。
そんな環境の中、就活生はどんな企業に注目しているのか? 文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所が実施している、「就職ブランドランキング調査」から、就活生の関心が高い企業をランキング形式でまとめている。
総合商社と金融大手の人気盤石
すでに、4月4日の配信記事「学生2万5000人が選んだ『就職人気ランキング』」で、総合の上位300社を紹介しているが、今回は属性別ランキングとして、男子就活生のランキング上位100社を紹介していきたい。
調査対象者は、就職サイト「ブンナビ!」に登録する現在就活中(2023年春卒業予定)の大学生や大学院生で、登録者のうち、大学名を問わず約2万5000人が回答している。うち男子学生は約1万2000人だ。調査期間は2021年10月1日から2022年3月15日まで。「前半」とあるのは、同調査が就活フェーズにあわせて複数回実施しているからだ。
結果を見ていこう。1位は伊藤忠商事。男子のランキングとしては4年連続のトップだ。働き方改革の先進企業として知られ、総合でも女子のランキングでもトップに立っている。
2位は総合商社の一角、丸紅がランクインした。昨年の男子ランキングは44位だったが一気に2位まで躍進している。多様な人材を確保するために、ジョブ型採用である「Career Vision採用」や、あらゆる分野のとがった人材を集める「No.1採用」といった施策を実施。そうした取り組みが男子就活生の支持を得たのかもしれない。
3位は日本生命保険で、昨年の2位からひとつ順位を下げたが安定的な人気を誇っている。以下、4位三菱商事、5位大和証券グループ、6位三井物産と、総合商社か金融大手が上位を占める結果になっている。8位損害保険ジャパン、10位SMBC日興証券を含め、トップ10には総合商社4社、金融大手4社が名を連ねている。
7位には大日本印刷がランクインした。印刷だけでなく電子部材などが収益柱になっており、情報事業などにも強みを持つ。ここ数年男子学生を中心に人気を集めており、総合ランキングでもトップ10の常連になりつつある。9位はバンダイで、男子の順位は昨年の26位から多くランクアップしている。