関西電力の大幅再値上げに企業から怨嗟の声 「節電に限界」、「工場移転を検討」との声も

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「節電やコスト削減努力はおおむねやり尽くした」と回答した企業は、3割に達する。「実施余地は少ない」との企業と合わせると、9割強の企業が「節電努力にも限界がある」(化粧品製造)と感じているのだ。それでも大多数の企業ができることは、「節電努力を強化」「(人件費以外の)コスト削減」という経営努力しかないのも事実だ。

関西の地盤沈下を加速させる

そうでなければ「電力使用量の大きい工場と研究開発部門を関電管外に移転せざるをえない」(空調設備製造)、「工場の関電管内以外への全面移転も考えている」(食品機械製造)など、関電管内からの脱出を企図する声も聞かれる。

ただでさえ地盤沈下の進む関西圏を、さらに加速させることになる。また、「人件費の削減」、「賃上げの抑制」を対策に挙げている企業もあり、深刻さがうかがわれる。

1月21日に開催された、関電の電気料金値上げ申請を審査する総合資源エネルギー調査会の小委員会でも、大商副会頭の西村貞一中小企業委員長が、電力の安定供給という責務を担う関電の判断に理解を示したうえで、「今回の電気料金再値上げは中小企業にとって死活問題」であることを訴えた。関電の合理化努力が足りないという批判の声も多い。

円安が一服しているうえ、原油価格の急落もあり、燃料調整費を含む電気料金の上昇は15年半ば以降は一服するとみられる。だが、すでに電気料金は過去最高値圏。関電には新たな経営合理化策を示すことが求められている。

筑紫 祐二 東洋経済 記者

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ちくし ゆうじ / Yuji Chikushi

住宅建設、セメント、ノンバンクなどを担当。「そのハラル大丈夫?」(週刊東洋経済eビジネス新書No.92)を執筆。

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