電力自由化にらみ、大幅コスト削減した東京電力
まずは東電の業績を見てみましょう。決算短信の損益計算書(5ページ参照)を開きますと、売上高にあたる営業収益は前の期より3.7%増の3兆3341億円。営業費用は0.1%増の3兆508億円に抑えたため、営業利益は69.4%増の2833億円と大きく伸ばしています。
一方、関電はどうでしょうか。決算短信書の損益計算書(8ページ参照)を見ますと営業収益は、前の期より4.1%増の1兆6776億円でしたが、営業費用が7.4%増の1兆6733億円まで膨らんでいます。その結果、営業利益は92.1%減の42億円と大幅に落ち込みました。
いずれも営業収益はほぼ同じくらい伸びていますが、営業利益に大きな差が出ているのです。2社とも事業内容ほぼは同じですし、原発も全基停止したままです。なぜ、ここまで状況が異なっているのでしょうか。
一つは、東電が大幅にコストカットを行なったからです。同社は2011年3月に起こった原発事故以降、収益が急速に悪化していました。存亡の危機の中での原発事故の損害賠償や、事故に伴う原子炉の冷却などにかかる費用を除いても、本業の業績自体が悪化していたのです。2012年3月期以降、2期連続で営業赤字を計上していました。原発が停止しているため、火力発電に頼らざるを得なくなり、燃料費が膨らんだことが主な原因です。
同社は収益を確保するため、2013年9月に電気料金の値上げを行ない、2014年3月期にようやく増収増益となりました。
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