ホンダとタカタの業績を分析する 深刻なエアバッグ問題を乗り越えられるか

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タカタのエアバック問題は同社だけにとどまらない。関係が深いホンダは、これからどう対応するのか(写真:尾形文繁)
自動車部品大手タカタ製のエアバッグが大量リコール(回収、無償修理)されている問題が、いまだに収束の気配を見せません。2009年5月に起こった米国での死亡事故をきっかけに、タカタ製のエアバッグに欠陥があるのではないかとの不安が広がりました。
タカタは世界のエアバッグ市場において、約20%のシェアを握っています。ホンダやトヨタ自動車などの日本メーカーだけでなく、ドイツのBMWなど、海外メーカーにも広く採用されていますから、その影響は甚大です。全世界でのリコール台数は拡大し続け、今では1000万台を超える規模にまで膨らんでいます。タカタは、この問題を乗り越えることができるのでしょうか。また、一部では自動車大手のホンダがタカタを救うのではないかとの憶測もあります。 そこで、ホンダとタカタの財務諸表を分析しながら、その影響についても述べたいと思います。

エアバッグ問題がタカタに及ぼす影響は?

まずは、決算短信でタカタの損益計算書(6ページ)から同社の業績を見てみましょう。売上高は前の期より14.8%増の3020億円、本業の儲けである営業利益は11.6%増の147億円と、大幅な増収増益となりました。日本では生産、販売ともに落ち込みましたが、北米やアジアでの売り上げが伸びたのです。本業に関しては、好調に推移していると言えます。

ところが、エアバッグ問題が業績の足を大きく引っ張りました。特別損失には、欠陥があると指摘されているエアバッグを回収するための費用が含まれる「製品保証引当金繰入額」が476億円計上されています。これによって、最終的には352億円の純損失となりました。

「製品保証引当金繰入額」は、平成25年3月期にも300億円計上されましたから、今のところ合計で776億円まで膨らんでいることになります。ここがどこまで増えていくのかは、わかりません。

これまで、ホンダやトヨタ自動車などの自動車メーカー12社がリコールを行いましたが、この費用は自動車メーカーが負担しています。タカタ製のエアバッグが事故を起こす可能性があると言われていても、完成車を販売している自動車メーカーが一義的には責任を負っているのです。

ただし、今後、本当にタカタの製品に問題があると判明した場合は、当然ですが、これらの費用はタカタに転嫁されることになるでしょう。

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