リコール問題、タカタは何を間違えたのか

全米リコールめぐり深まる当局とのミゾ

12月3日の公聴会。タカタの品質保証責任者である清水博シニアバイスプレジデントが質問に答えた。写真右はホンダノースアメリカのリック・ショステック上級副社長(写真/Bloomberg)

エアバッグで世界シェア2位を誇り、少し前までは紛れもないエクセレントカンパニーだったタカタが、窮地に立たされている。

国内外で相次ぐリコール(回収・無償修理)から、2013年3月期には300億円の特別損失を出し、今15年3月期も中間期までに476億円の特損を計上。目下の焦点は、米国の南部地域に限定して行っている調査リコール(以下、地域限定リコール)の全米拡大である。

「タカタの対応には深く失望した」――。12月3日に行われた米下院公聴会で、米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)のデービッド・フリードマン局長代行はこう述べた。NHTSAは11月18日、地域限定リコールについて、運転席用のエアバッグは対象地域を全米に広げるよう要請。だがこの日に至るまで、タカタは当局の要請に応えなかったからだ。

品質保証責任者であるタカタの清水博シニアバイスプレジデントは、3日の公聴会で、「データに基づけば、(地域限定リコールを実施している)多湿地域での部品交換を優先することが最善だと考える」と、全米拡大に消極的な姿勢を示した。

地域限定リコールの”争点”

タカタのかたくなな態度がNHTSAや世論の反発を招き、結果的に状況を悪化させているようにも見える。ただ、タカタの言い分にもそれなりのロジックはある。

NHTSAの指導で、ホンダなど9社の自動車メーカーが地域限定リコール実施に至ったのは、フロリダとプエルトリコでエアバッグが異常破裂する6件の不具合(運転席用、助手席用ともに)が発生したため。原因は特定できなかったものの、①一定の経年劣化、②極めて多湿な地域で長い年月使用されてきたこと、③潜在的な製造の問題、の3つが重なった場合に不具合が発生することはわかった。

しかし、タカタの清水シニアバイスプレジデントが「運転席エアバッグの不具合はゼロだ」と公聴会で述べたように、調査のために回収したエアバッグから不具合は発見されていない。にもかかわらず、NHTSAが運転席用について全米へのリコール拡大を求めたのは、限定地域ではないノース・カロライナで、フォード車の不具合が報告されたため。

要は限定エリアの外で不具合が発生したのだから、安心・安全確保のために可及的速やかにリコールを全米に拡大せよ、という理屈だ。

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