リコール問題、タカタは何を間違えたのか

全米リコールめぐり深まる当局とのミゾ

加えて、地域限定リコールの対応についても疑問が残る。NHTSAがリコールの全米拡大を要請したのは運転席用エアバッグのみ。しかし、調査のために回収したエアバッグについて、助手席用では60件弱の異常が確認されている(運転席用はゼロ)。タカタは、不具合は米国南部の多湿地域のみと主張し、これまでNHTSAも助手席用のエアバッグについてはその考えを支持している。しかし、移動する自動車で一部地域以外は「安全」と言われても説得力は乏しい。

タカタにエアバッグの開発を依頼した、元ホンダ経営企画部長の小林三郎氏は著書『ホンダ イノベーションの神髄』の中でエアバッグに必要とされる信頼性は、故障率100万分の1としている。これは、「100万台のクルマにエアバッグを搭載し、当時の平均寿命年数である15、6年走らせた際に、暴発や不発が合わせて1件以下ということ」とも書かれている。タカタ製エアバッグの現状はとてもこのレベルに達しているとは思えない。

トヨタが第三者機関の設立を提案

今回の件で小林氏には取材を断られたが、著書で強調しているのは、エアバッグの信頼性への強い信念と万一のときには早急に対応する謙虚さだ。今のタカタはその謙虚さをどこまで持ち合わせているのだろうか。

こうした中、遅ればせながらタカタも信頼回復に向けて動き出した。12月3日、高田重久・会長兼CEOによる声明文で、元米国運輸省長官を委員長とする独立委員会の設置や、別の元米国運輸省長官2名をスペシャル・アドバイザーに招くことを発表した。

一方で米国時間の2日には、トヨタが業界全体の取り組みとして、独立した第三者機関を設立し、タカタ製エアバッグ問題を調査する提案を発表。他の自動車メーカーにも参加を呼びかけ、ホンダなどは応じる考えを示している。世界2位のシェアを持つ重要なサプライヤーであるだけに、取引先として問題を放置しておけなくなったのだろう。言い方を変えれば、タカタが自力で信頼を回復できる段階は過ぎたのかもしれない。

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