リコール問題語らず、タカタ社長が辞任 外国人社長はなぜトップを退くのか
エアバッグのリコール問題に揺れるタカタは12月24日、ステファン・ストッカー社長(61)が同日付で辞任したことを発表した。ストッカー氏は取締役に降格し、今後は高田重久会長(48)が社長を兼任する。
プレスリリースでは異動の理由を、「エアバッグのリコール問題に対する全社的対応の更なる一元化、および意思決定の迅速化と対応強化を図るため」としている。唐突に映る今回の発表について、会社側にその理由を改めて尋ねると、「会社始まって以来の危機に対応するため。経営を一元化し意思決定の迅速化を図るためで、引責ではない」と説明した。
今回の社長交代に併せて、役員報酬の一部返上も発表された。エアバッグの不具合での死傷者へのお詫びや、14年9月中間期の大幅赤字と中間配当の見送りを受けて、高田会長兼社長は月額報酬の50%、ストッカー取締役が同30%、ほかの取締役3名が同20%をこの12月から2015年3月までの4カ月間返上する。
スイス出身のストッカー氏はスイス工科大学を経て、28歳の時に東京工業大学大学院の電子工学科修士課程を修了。1982年にロバート・ボッシュGmbHに入社した。02年から09年までボッシュの日本法人社長を務めた経験を持ち、日本語も堪能だという。
海外事業の拡大を牽引したが・・・
タカタには2013年2月に執行役員として入社。同年6月、2007年から社長を務めていた創業家の高田重久氏が会長となり、後任にストッカー氏が就任。創業家以外での初めての社長として、海外事業を拡大する役割を担っていた。
ストッカー氏の拠点はドイツで、社長を務めてきた1年半は日本での滞在が月の3分の1から4分の1程度だったという。この10月に稼働したハンガリー工場の立ち上げに尽力したほか、経営会議を海外で開催するなどグローバル化も進めてきた。ただ、2013年と2014年のアナリスト向けの説明会には出席したものの、メディアの露出はいっさいなかった。
一連のエアバッグ不具合を巡る対応については、結局、公の場で自身が説明する機会を一度も持たなかった。意思決定の迅速化や対応強化を図るとはいえ、リコール最中の社長降格はなんとも歯切れの悪い”幕切れ”に映る。ストッカー氏の取締役としての任期は2015年6月まで。その先、タカタにとどまるかどうかは「決まっていない」(タカタ)という。
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