また、タカタを救済しないと、米国から日本の自動車メーカーの責任も追及される可能性がありますから、自動車メーカーにとってはとても重要な問題なのです。
ホンダが支援に乗り出せば、タカタの復活は可能
タカタが巨額の損失を負った場合について、もう少し具体的に考えてみましょう。タカタの貸借対照表(決算短信4~5ページ)を見ますと、純資産が1441億円。そのうち、利益剰余金だけで618億円ありますから、1000億円の損失が出たとしても当面は債務超過(純資産がマイナス)にはなりません。現状のリコール規模で事態が収拾すれば、タカタの存続には問題はないと考えられます。ただし、現状以上にリコールが広がると不安があります。
会社は、純資産がマイナスになっても潰れません。資金繰りがつかず、負債が返済できなくなった時に潰れるのです。従って、問題は、1000億円以上に損失が膨らんだときに、銀行がおカネを貸してくれるかどうかということになります。
しかし銀行は、会社の将来の展望が開けないと融資をしません。タカタの技術力を考えれば、銀行もおカネを貸してくれるとは思いますが、ホンダが「全面的にバックアップします」と言えば、銀行もおカネを貸しやすくなるでしょう。その点でも、ホンダが支援に乗り出すかという点は重要なポイントになるのです。
ここで窮地を脱すれば、タカタは技術的には非常に優れたものを持っていますから、一時的にシェアを落としたとしても十分挽回できると思います。
ただし、あまりにもエアバッグ問題が長期化し、被害が大きくなると、自動車メーカーや消費者の信頼を回復させるのが難しくなります。当面のリコール問題の動きと、原因の究明については注意が必要です。
短期的な動きとしては、タカタは一時的に業績が上がる可能性があります。いま、タカタはエアバッグの交換用部品をフル稼働で作っていますから、その分、売上高、営業利益ともに押し上げられるのです。先ほども説明しましたように、リコールにかかる費用は自動車メーカーが負担していますから、原因が明確になってタカタへ費用が請求されるまでは、交換用部品の需要増から収益が伸びると考えられます。
ただ、これは営業利益段階での話です。本業の動きとともに、今後、どれだけ特別損失が計上されるかという点にも十分注意する必要があります。
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