大幅増益の東京電力と苦戦の関西電力を分析

原発事故後、明暗が分かれる電力2社

さらに、2016年には電力の全面自由化が控えています。これまでは電力10社が販売を独占してきましたが、これが自由化されると、消費者は契約する業者を選べるようになります。ここから価格やサービスの競争が激化すると予想されるのです。

そこで、東電は今後の電気料金の値上げを極力回避させるべく、再建計画(新総合特別事業計画)を進めています。その中で、10年で4.8兆円のコストを削減するという目標が掲げられました。

今期、電気事業の営業費用が削減されているのも、これが理由です。価格交渉をして燃料価格を引き下げたり、修繕工事を来年度以降へ繰り延べたりすることで、2015年3月期は8370億円のコスト削減が見込まれています。このほか、想定数以上の希望退職への応募があり、人件費の削減が進んだことも寄与しました。

ただ、4.8兆円のコスト削減では不十分として、追加策を検討しています。中部電力との液化天然ガス(LNG)の国際入札や、東北電力や北海道電力と共同での資材調達などの経営合理化を徹底することで、さらに1兆円の削減をしようとしています。

それでも、柏崎刈羽原発の再稼働がない場合は、10%程度の再値上げが必要だという試算もあります。東電としては、再値上げは極力避けたいところでしょうが、原油安の追い風が吹く一方、円安がどこまで進むかという不確定要因もありますので、今後も注意が必要です。

燃料費の増加に苦しんだ関西電力

東電と関電の業績に差が開いたもう一つの理由は、関電の電気事業コストが膨らんでいることです。

関電の損益計算書に戻りますと、電気事業営業収益が4.7%増の1兆4591億円に対し、電気事業営業費用は8.6%増の1兆4792億円ですから、電気事業だけをとれば赤字で、電気事業の費用が増加したことが減益の大きな原因だと言えるのです。

関電は、原発事故前は全国で最も原発依存度が高い電力会社でした。原発事故前である2010年3月期の原子力発電電力量は、全体の発電電力量のうち53.6%を占めていたのです。

ちなみに、同期の東電の原発比率は32.0%でしたから、原発停止が業績に与えた影響は、東電より関電のほうがはるかに大きかったと言えます。

そこで関電は、原発停止に伴う燃料費の増加を理由に、2013年5月に電気料金を平均9.75%値上げしました。ただ、この時計算された原価は、大飯原発3・4号機と高浜原発3・4号機の計4基の再稼働が織り込まれていたのです。

大飯原発は震災を境に稼働を停止していましたが、2012年7月から再稼働していました。しかし、2013年9月に定期検査のため停止し、以降は全停止しています。

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