東京電力、「再値上げ1年封印」の真意 原発なしで増益だが、再値上げの可能性も

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再稼働の見通しがつかない柏崎刈羽原発(撮影:尾形文繁)

「来年1年間は電気料金の値上げをしない」――東京電力の數土文夫会長は12月17日の記者会見で、たとえ柏崎刈羽原子力発電所の再稼働がないとしても2015年中の再値上げは見送る方針を表明した。

メーカー流の合理化徹底を目指す”數土改革”の成果の現れと言えるが、一方で修繕費などの緊急避難的なコスト繰り延べは限界に来ているとして、原発の再稼働は不可欠とも強調した。原発依存経営から脱却するわけではなく、2016年以降の値上げの可能性も残している。

新総特のコスト削減目標を超過達成

東電は今年9月、外部有識者も入れた「生産性倍増委員会」を設置、追加的なコスト削減策を検討してきた。柏崎刈羽原発再稼働の見通しがつかず、「新・総合特別事業計画」(2014年1月に政府認可)で掲げた経営目標の見直しが急務になったためだ。12月16日に開いた同委員会の第三回会合で具体的な施策をまとめ、17日の取締役会で値上げ見送りとともに正式決定した。

新たなコスト削減策では、2014年度の電気事業の総コストを6兆2670億円とし、東日本大震災前に計画していた7兆1042億円に比べて8370億円カットする。「新総特」での目標は大震災前比で5761億円の削減だったので、約2610億円を超過達成する見通し。

超過達成分の内訳としては、緊急避難的な修繕工事や除却関連工事の繰り延べが半分強を占める。また、燃料単価が相対的に高い石油火力発電から石炭・LNG火力発電への切り替えや、価格交渉による燃料単価の低減も大きい。これらが生産性倍増委員会の短期的な成果といえる。

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