〈専門家に聞く〉「マンガワン問題」で小学館に問われる責任 聖域化する「編集」の現場…メディア企業に通じる構造的難題とは
確認体制が不十分だった可能性
――小学館は和解交渉への会社ぐるみでの関与を否定し、加害者がペンネームを変えて連載を再開していたことも、札幌地裁の判決後にマンガワン編集部から報告を受けて初めて確認したとしています。この事件における小学館の責任をどのように考えますか。
小学館が直接指示を出した、あるいは状況を知りながら放置していたという事実が認められないとすると、法的な責任は認めにくいと思われる。
ただし、「ビジネスと人権」に基づく社会的責任は別途発生しうる。ビジネスと人権の観点では、企業は自社の事業活動と直接的な関連性がある人権侵害、または人権侵害のおそれに対して、事実を適切に確認し、責任ある対応を講じて問題の是正に努めることが求められる。
小学館は、担当編集者から法務室に和解協議について相談があった際に、弁護士への委任を促すよう指示したとしており、それ自体は不適切とは思わない。ただ、仮に法務部やコンプライアンス部門が和解協議に積極的な関与をしたわけではなくとも、(今回の性加害事件が)かなり重大な事態であることは間違いない。少なくともその後の状況を継続的に確認するなど、企業としての適切なフォローアップが求められていたと考えられる。
また、加害者の連載復帰を小学館の経営陣が把握していなかったという事実は、編集部の状況を平時から把握・確認する体制が不十分だったことを示しているのではないか。




















