関西電力が今年度内に電気料金を再値上げする公算が高まってきた。早ければ年内にも政府に申請する方向だ。
同社は10月29日、2015年3月期中間期(4~9月期)の決算を発表。連結決算では通信事業など子会社の健闘によって、18億円の経常黒字をかろうじて確保した(前年同期は315億円の経常黒字)。しかし、電気事業の単独決算では原子力発電所の稼働がゼロとなったことで、燃料費が過去最大に膨らみ、117億円の経常赤字を計上。大飯原発が一部稼働していた前年同期の439億円の黒字から大幅に悪化した。
本社で会見した八木誠社長は「下期は修繕費が集中するほか、需要も上期より減るため、利益が出にくい。仮に原発の再稼働がなければ、(連結決算についても)前期同様、厳しい赤字決算にならざるを得ないだろう」と述べた。会社側は通期の業績予想について、「供給力の見通しが不透明」として、引き続き「未定」としている。が、原発再稼働がなければ、今期も1000億円前後の経常赤字が避けられないと見られる。13年度の連結決算では1113億円の経常赤字だった。
高浜原発の今期中再稼働は難しい
焦点は、原発再稼働と電気料金改定の行方だ。関電は現在、高浜原発3、4号機と大飯原発3、4号機に対して、原子力規制委員会による新規制基準の適合性審査を受けている。審査が先行しているのは、基準地震動が決定済みで、重要事故対策の審査もおおむね終了した高浜3、4号機。9月10日に新基準適合を認められた、九州電力・川内原発1、2号機に次ぐ、2番目の合格候補と目されている。
だが、合格時期は未定で、越年する可能性も高い。合格しても、再稼働に対する地元同意が必要だ。同意を得る地元の範囲について八木社長は、「立地する町と福井県」との認識を示したが、最終的に確定したわけではない。福井県については、来年4月に知事選を控えており、選挙前の微妙な時期に再稼働は難しいとの見方もある。
また、地元住民らが高浜3、4号機と大飯3、4号機の運転差し止めを求めて、大津地方裁判所に申請した、仮処分の判断が年内にも出る見通し。住民の訴えが認められれば、控訴審で判決が覆らない限り、関電は原発を動かせなくなる。いずれにせよ、高浜3、4号機の今期中の再稼働は、難しい情勢だ。
大飯3、4号機に関しては、さらに後ズレしそう。基準地震動が10月29日の規制委審査でおおむね了承されたものの、地震動の引き上げによって、新たな安全対策が必要となる可能性がある。15年度中に再稼働できるかも微妙だ。
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