関西電力、年内にも料金再値上げ申請か 原発稼働が遅れ、4期連続赤字は必至

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こうなると今期も4期連続の赤字となることが必至である。もし今期1000億円の最終赤字となれば、期末の単独自己資本比率は10.3%(9月末は11.8%)まで低下する。

再値上げについて八木社長は、「原発再稼働の見通し、経営効率化、収支の状況を踏まえ、総合的に判断する。現時点では未定」と、従来通りのコメントを繰り返した。ただ、原発再稼働については、「前回の値上げ(13年5月)は高浜、大飯の再稼働を前提としており、高浜だけでは収支が厳しい」とし、大飯3、4号機を含めた4機の再稼働見通しが判断基準になるとの考えを示した。大飯の再稼働見通しの不透明さを考えると、年内にも再値上げの申請を決断する可能性が高いと見られる。再値上げとなれば、東日本大震災後では北海道電力に続き、2社目となる。

もっとも、消費再増税の判断を控えた政府は、消費の抑制につながる電力料金のさらなる値上がりを避けたい意向。原発再稼働までのつなぎの収支改善策として、資産売却や増資などの代替策を要請する可能性もある。北電や九電は日本政策投資銀行を引き受け先として増資を行っているが、八木社長は従来から「増資は根本的な収支改善策とはならない」として、否定的な考えを示している。少なくとも再値上げ申請の場合には、できるだけ値上げ幅を抑えるための新たな経営合理化策が求められることになりそうだ。

中村 稔 東洋経済 編集委員
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