「競争環境下で原子力発電をこれまで通り民間が担っていくには、予見性を持って事業に取り組める環境整備が大事。費用が確実に回収されることが大事だ。そのための官の支援を是非ともお願いしたい」。9月19日の定例記者会見で、電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)はそう訴えた。
国に求める支援策として八木会長は、「廃炉に絡む財務・会計リスク緩和措置」、「原子力燃料サイクル事業における新たな官民の役割分担」、「規制や政策の変更、電力システム改革による競争の進展といった環境変化を踏まえた措置」を挙げた。
英国の“原発版FIT”が議論の俎上に
一方、経済産業省はすでに、総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会において新たな原発支援案の議論を始めている。
8月21日に開かれた第5回の原子力小委では、「競争環境下における原子力事業の在り方」が議論された。この会議では、英国において導入が決まった「差額決済契約(CfD=Contract for Difference)」と呼ばれる原子力支援制度が、英国エネルギー・気候変動省の担当者からかなりの時間を割いて説明された。
CfD(FIT-CfDとも呼ぶ)という制度は、電気の値段を固定価格で一定期間、保証するという点で、日本でも再生可能エネルギーを対象に導入されている固定価格買取制度(FIT=Feed in Tariff)に似ている。英国では、これを再エネ発電だけでなく、原子力発電にも導入することが昨年決まった。
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