原発優遇策をねだる、電力業界の本末転倒

「原発版FIT」など経産省も具体案を検討

電力業界が求めているのは、そのリスク軽減措置のさらなる拡充だ。電事連の八木会長は、原子力燃料資産や長期運転を見越して実施してきた追加対策コストを挙げ、「仮に早期廃炉を決断した場合、これらは一括費用計上の対象となる。われわれとしては、会計上のインパクトをできるだけ除くことが望ましい」として、これらを軽減措置の対象に加えるように求めている。

こうした議論は、40年を超えた老朽原発の廃炉原則(最大20年間の延長申請も可)が新規制基準で決まったことを受けて、関西電力や中国電力などの電力各社が実際に廃炉を検討し始めたことに沿ったものだ。

廃炉が円滑に進むという意味で賛同する意見は多いものの、一括費用計上の対象を減価償却の対象に変えるということは、規制料金制度が残る間は電気料金の原価として認める(利用者への費用転嫁)ということであり、慎重な議論が必要だ。

日本原燃の資金分担も要求

八木会長は日本原燃の認可法人化には反対だが、国の資金支援を待望(撮影:梅谷秀司)

さらに、浮上しているのが、再処理など核燃料サイクル事業を行う日本原燃の組織形態見直し案である。現状、原燃は電力会社が出資する株式会社。これを、最終処分事業を行う原子力発電環境整備機構(NUMO)と同様、認可法人にするという案が出ている。

認可法人になれば、国が人事権や事業計画の決定権を持ち、解散も株主の判断だけでできなくなる。経産省としては、原燃を認可法人化することで核燃料サイクル事業の継続を担保したい考えと見られる。

これに対して電事連は、「民間活力を最大限に生かすべき」(八木会長)と認可法人化には反対する。だが、「電力自由化や規制強化など環境が変わっていく中で、安定的にサイクル事業を推進するために国の関与をお願いしたい」(同)と要求。具体的な関与の形態についてはノーコメントとしたが、「費用が確実に回収されることが大事」(同)としており、再処理事業への国の資金分担を想定しているのは明らかだ。

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