――規制委の火山影響審査についてどう評価していますか。
今回の審査の問題点を端的に言えば、できもしないことをできるかのように扱っており、必ずしも科学的とはいえないということだ。一見、科学的な評価をしているように見えるが、実際はそうではない。できないことをできるといえば、結果的に国民にウソをつくことになりかねない。新たな「安全神話」をつくるようなことがあってはならない。
問題は、火山審査の基準として、規制委が作った火山ガイドにある。中でも大きいのは、噴火の時期や規模を予測するために階段ダイヤグラムを使う点であり、もう一つが地殻変動の観測などによって超巨大噴火も予測できるとしているモニタリング(監視)だ。
階段ダイヤグラムで議論するのは困難
階段ダイヤグラムというのは、縦軸に噴出量を取り、横軸に時間を取って、噴出規模や噴出時期を予測する方法だが、理想的なものを作ることができれば役に立つが、実際問題として作るのが非常に難しい。噴出量の見積もりの誤差が大きく、年代測定も難しい。10人研究者がいれば、10通りの階段ダイヤグラムが作られる。そういうものだ。
ところが規制委は、階段ダイヤグラムによって火山活動の全体を予測できるという前提に立って、火山ガイドを作っている。それで原発規制の厳密な議論ができるのかは非常に疑わしい。