「火山影響評価は科学的とはいえない」 川内原発審査の問題②高橋正樹・日本大学教授

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――そういう状況で、地殻変動による警戒時にいつ原発から核燃料を運び出すのか、判断できるのでしょうか(火山活動の兆候把握時における原子炉停止や核燃料搬出などの九電の対処方針は不明)。

ほとんど判断できないだろう。原子炉停止、核燃料搬出などの対処方針を定めるというが、どこに運び出すかも明らかでなく、本当にできるのかは非常に疑問だ。噴火の予兆が出て核燃料搬出の判断をしたとしても、原子炉を冷温停止して運び出すには時間がかかるともいわれ、間に合うかどうかもわからない。

――規制委による火山ガイド策定では、ごく一部の火山学者しか関わっていないとされています。

火山学会に評価が依頼されたわけではない。火山の影響評価においては何が重要か、規制委の内部で十分練られていないのではないか。

――川内原発以外の原発で、火山の影響に注意すべきところはどこでしょうか。

北海道の泊原発では、有珠山が大規模な噴火をした場合、風向きによっては影響が及ぶ。江戸時代に活発に活動した樽前山などの火山もあり、近々噴火する可能性も十分にある。

 また(静岡県の浜岡原発に比較的近い)富士山にしても、江戸時代に大量の火山灰を広範囲に降らせた、宝永大噴火(1707年)から300年以上経っており、いつ大噴火が起きてもおかしくない。南海トラフを震源とする巨大地震が噴火の契機になる可能性もあるが、噴火以前に、巨大な地震や津波の可能性を考えれば、浜岡原発は世界で最も危険な原発と言えるだろう。

中村 稔 東洋経済 編集委員
岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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