経済産業省が新たな原子力発電支援策として俎上に載せた差額決済契約(CfD)。”原発版FIT”ともいえる価格保証制度を日本に導入することは妥当なのか。国内外の電力・エネルギー政策に詳しい富士通総研経済研究所の高橋洋・主任研究員に聞いた。
英国がCfD導入を決めた原発新設計画
――英国の差額決済契約(CfD)について、現地で調査したそうですね。
2013年7月に英国へ出張し、英国エネルギー・気候変動省や電力会社などにヒアリングを行った。CfDはFIT(固定価格買取制度)とはメカニズムの面で若干違うとはいえ、「FIT-CfD」とも呼ばれるぐらいで、似たような仕組みと考えていい。発電しても儲かるかどうかわからないのが事業者にとっては悩みの種なので、一定期間、固定価格で保証するという意味では同じだ。
英国では当初、CfDを再生エネルギーで使うことが決まっていたが、CO2削減とエネルギー安全保障のための原子力推進の立場から原発にも使うことになった。
英国が現在保有する原子力発電所の約70%は運転開始から30年を超えており、あと10年ぐらい経てば、寿命が来てどんどん減り始めることになる。1995年から原発の新増設はないが、原発の発電量を維持していくためには、今のうちに新しい原発を建て始めないと間に合わない。そこで計画がされたのが、ヒンクリー・ポイントC原発の新設(160万キロワット×2基、2023年竣工予定、建設費160億ポンド=約2.7兆円)で、これにCfDが導入されることになった。
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