退任する委員とはいえ、非常に重みのあるメッセージだった。
原子力規制委員会委員(規制委)としての2年の任期を終了した島崎邦彦、大島賢三の両氏が18日、それぞれ退任会見を開いた。大島氏は原子力発電所周辺の自治体が策定する防災・避難計画について、規制当局と国家の防災専門組織が連携して積極関与している米国に比べ、「日本は(腰が)引けている」とし、日本でも同じような仕組みをつくって避難計画の実効性を高めるべきとの考えを示した。
元外交官である大島氏は、福島第1原発事故の国会事故調査委員会の委員も務め、規制委では海外規制当局との協力強化などを担当してきた。
日本と米国の違い
日本では現状、内閣府が防災・避難計画を所管し、各周辺自治体が策定している。規制委は策定において技術的サポートを行っているものの、原発の運転を許可する際の審査対象にはしていない。規制委の審査が最も進んでいる九州電力・川内原発周辺自治体の避難計画を含め、その実効性には専門家や住民などから多くの不備、不安が指摘され、「自治体へ実質丸投げ」の弊害として問題視されている。
避難計画の実効性を高めるには何が必要かとの記者団の問いに対し、大島氏は次のように答えた。
「米国では、原子力災害に限らず竜巻など自然災害も含めて所管しているFEMA(米連邦緊急事態管理庁)という組織があり、NRC(米原子力規制委員会)と協力しながら、自治体が策定する避難計画に相当突っ込んで関与して支援している」
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