原子力規制委を退く委員の”重い言葉” 「今やっても遅くない」と新組織設立を提言

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日本版「FEMA」の設立を提言

原子力規制委員会の田中俊一委員長は退任する委員の”提言”をどう受け止めたのか(撮影:尾形文繁)

大島氏は、「米国では一歩進んで、(原発運転の)ライセンスを出すときに、その避難計画が訓練も含めてきちんと行われることをFEMAと協力して確認する。そういう米国のやり方と比べると、日本は確かに(腰が)引けている」とも述べた。

そして、「日本でも規制委が(避難計画の)指針を作っているが、国のあり方とすれば、もっともっと突っ込んで関与したほうがいいのではないかと思う。“日本版FEMA”のような組織をつくってプロが関与していくことが、原子力災害だけでなく、今後激甚化が予想される自然災害、複合災害への対応としても必要ではないか。今やっても遅くはない」と、新組織の立ち上げを提言した。

原子力施設の安全性向上に必要な条件を、大島氏は3輪車にたとえる。前輪が「規制基準」、後輪が「事業者の安全文化」と「防災・避難計画」の2つだ。同様に、田中俊一委員長もかねてより「規制基準と防災は車の両輪」と表現し、防災・避難計画の重要性は強調しているものの、現状の法体系上、避難計画の実効性を評価する立場にはないとしてきた。

だが、米国を参考に現状の仕組み自体を見直すべきとする大島氏の発言は、規制委委員としての経験を踏まえたものだけに、重く受け止める必要があるだろう。

中村 稔 東洋経済 編集委員
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