政府はまず「原発は高コスト」と認めよ

富士通総研の高橋洋・主任研究員に聞く

――福島の事故後に原発のコストは大幅に上がった。

福島の影響もあるが、最新の原発となると安全対策が強化されているので当然コストは高くなる。これまで建設費が1基当たり4000億~5000億円と言われてきたが、ヒンクリー・ポイントCはその2倍以上かかっている。事業会社としても、初期投資をちゃんと回収できる保証がなければ、危なくて手を出せない状況。これは今や国際的な認識になっている。

つまり、ここで言いたいのは、日本でも「原発は安い」という議論はやめましょうということだ。

まず原発は高コストだと認めるべき

――日本の経済産業省はそうした英国のCfDを実例に挙げ、電力全面自由化という競争環境下での原子力の支援策を議論し始めている。

原発がハイリスクでハイコストなんだと十分認めたうえで、それでもこれだけの価値があるのだからやるべきだということが再定義できなければ、原発のあり方も決められないはずだ。以前は、原発は安いからやろうと言う話で経済界も納得していた。しかし、実際にはコストは高いのだから、事業としては成り立ちにくい。米ゼネラル・エレクトリック(GE)のイメルト会長兼CEOも、「原発を経済的に正当化するのは非常に難しい」などとメディアに語っている。日本もまず、原発は高コストだと認めたうえで議論すべきだ。

――今年4月に閣議決定されたエネルギー基本計画でも、原発を「コストが低廉」などとして「重要なベースロード電源」に位置付けた。

基本計画の中では、今後自由化が進めば、原発には逆風が吹くので、新たな支援策を考えるという一文が入っていた。つまり、資源エネルギー庁はCfDのような支援策を作ることを前提に基本計画を作っていた。

コストが低廉というのも、「運転(発電)コストが低廉」と書いている。単純に発電するためだけの単価をとれば、確かに原発は安い。燃料費があまりかからないからだ。ただ、発電後のバックエンド費用(使用済み燃料の再処理、最終処分費)や事故対応費用などを入れて見直せば、話は違ってくる。

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