政府はまず「原発は高コスト」と認めよ

富士通総研の高橋洋・主任研究員に聞く

ヒンクリー・ポイント原子力発電所。手前のトラクターが作業している場所が新たにC原発を建設する場所 (写真:ロイター/アフロ)

(英国南西部にある)ヒンクリー・ポイント原発にはすでにAとBの原発があり、新たにC原発が新設される。当初、フランスの原発事業者であるEDFの英国子会社EDFエナジーと、英国の発電事業者であるセントリカの2社が建設の権利を持っていて、私は出張時に2社にそれぞれヒアリングを行った。両社に共通していたのは、「原発はコストが高い」という認識だった。

セントリカは、日本の福島事故後の安全対策が強化されたことで、最終的なコストがいくらかわからない原発新設プロジェクトに参加するのは会社として危ないと考えていた。そのため、初期費用約300億円を投資済みにもかかわらず、プロジェクト撤退を決めた直後だった。

一方、EDF側は、プロジェクト継続の方針。ただし、英国政府がCfDを導入し、適切な価格をつけてくれるのでなければやらない、という立場だった。現状ではコスト高、リスク高だが、CfDで原発の電気の価格を高く保証してくれれば投資を行うという考えだ。

収入保証がなければ、事業者は原発をやらない

その後、EDFと英国政府の間でCfDの価格交渉が行われ、13年10月に合意された。その価格が、キロワット時当たりで15.7円(1ポンド=170円換算)だった。日本で民主党政権時代に、総合資源エネルギー調査会のコスト等検証小委員会で出された原発のコストは下限値で8.9円。これに比べるとかなり高い。また、英国の再エネに対するCfD価格と比べると、陸上風力が15.3円より少し高く、大規模太陽光の17円よりはやや安い。再エネとほぼ同水準といってもいいだろう。

一方、買い取り期間は再エネが15年間に対し、原子力は2倍以上の35年間。再エネは16年目からは市場価格で売るしかないが、原発は運転開始の23年から35年間も価格が保証される(インフレも調整される)。原発のほうがより手厚い支援が受けられる。逆にいえば、原発はそれぐらい手厚く収入を保証してやらないと事業者はやってくれないということだ。

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