関西電力の大幅再値上げに企業から怨嗟の声 「節電に限界」、「工場移転を検討」との声も

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関西電力の八木誠社長(写真は2014年9月の電気事業連合会会見にて。撮影:梅谷秀司)

関西電力が、2015年4月から家庭用で平均10.23%、企業向けで平均13.93%という電気料金の再値上げを申請している。

東日本大震災後、原子力発電所の稼働停止を理由に、12年に東京電力が先陣を切る形で関電を含む電力7社が改定値上げを実施。さらに、14年に入って北海道電力が11月に再び値上げに踏み切り、関電もそれに続くこととなった。

関電は発電に占める比重の大きい原発の稼働がゼロとなったことに加え、円安で燃料費が過去最大に膨らみ、2015年第2四半期累計(4~9月)時点で電気事業の単独決算は200億円の営業赤字を計上。下期はさらに修繕費が集中する見通しのため、通期では連結でも前14年3月期同様、1000億円規模の赤字が避けられないとみられている。

今回の大幅値上げは原発停止を理由とした「電源構成変分認可制度」に基づくが、燃料単価高と円安の影響による燃料費調整も相まって、15年に関電管内の電気料金は第2次石油ショック以来、30年ぶりとなる高値を更新する見通しだ。震災以後のわずか4年間をみても、電気料金は4割も上昇している。

電気料金値上げの価格転嫁はできない

値上げに対し、関電管内に拠点を置く企業からは悲鳴が上がっている。

「全社(の照明を)LEDに変更するなど、可能な節電努力はすでに実施済み。製造装置を止めるわけにもいかないので、これ以上の節電はきわめて厳しい」(工業用原料製造)など、悲痛な声が聞こえてくる。

さらに深刻なのが外食や小売りなどで、関電管内にしか活動拠点を持たない企業だ。「省電力の冷蔵装置や店内照明のLED化導入など、打てると思える手はすでに打ってきた。これ以上、どうやって節電すればいいのか」、大阪市内に多くの店を構える外食チェーンは頭を抱える。

関電の再値上げ申請を受け、大阪商工会議所はこの1月に、「電気料金再値上げが企業経営に及ぼす影響に関する緊急調査」を実施。そこから浮かび上がったのは、これ以上の電気料金の上昇分を「ほとんど転嫁できない」とする9割超の企業の姿だ。

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