中部電力、「顧客負担による早期復配」の是非 料金値上げで黒字化果たし、2期ぶりに復配
中部電力は1月30日に2015年3月期の第3四半期(2014年4月~12月)決算を発表、純利益は292億円と前期の315億円の赤字から黒字転換した。通期見通しについては、法人実効税率の引き下げに伴い、繰り延べ税金資産を取り崩したため、純利益を280億円と、従来予想の380億円から下方修正したものの、4期ぶりの黒字となる。同時に同社は今期末の配当予想を1株10円とする2期ぶりの復配を公表した。
水野明久社長は会見で復配を決めた理由について、「浜岡原子力発電所の停止など経営が厳しいのは変わらないが、2014年度の黒字目標達成に一定のメドがつき、今後の最大限の経営効率化を前提として、復配が可能と判断した」と述べた。
同社は2011年度までは年間60円配、2012年度は50円配を実施してきたが、3期連続の赤字となった2013年度は中間配から無配に転落。一転、黒字化を見込む2014年度に10円配とする。10円配という水準について水野社長は、「財務基盤回復の必要性なども総合的に勘案して、適切な額を10円とした」と説明。10円の配当支払い費用は約75億円となる。
黒字化の主な要因は電気料金値上げ
中部電が今期黒字化する要因としては、期初からの電気料金値上げの効果が大きい。同社は原発停止に伴う火力燃料費増大による業績悪化を理由として、家庭向けなど規制部門の料金を2014年5月から3.77%、企業向けなど自由化部門の料金を同4月から7.21%値上げした。この値上げによって、2014~16年度平均で年間1345億円の収入増が見込まれ、収支を大きく改善させる。逆に顧客にとってはそれだけ負担増となっている。値上げした当年度に株主還元を再開するのは早すぎるのでは、との批判が出ても不思議はない。
水野社長は、「顧客には負担をお願いしており、従業員も効率化を必死に進めている。(株主以外の)他のステークホルダーにも、一層の経営効率化や浜岡原発の動向を含め、中長期的な経営環境を勘案し、ご期待に応えていきたい」と語った。
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