再エネの固定価格買い取りは、合法的談合だ 21世紀政策研究所の澤昭裕氏に聞く

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「FIT制度を抜本的に見直し、国民負担の膨張に歯止めをかけるべき」と主張する澤昭裕・21世紀政策研究所研究主幹(撮影:今井康一)
再生可能エネルギーを用いて発電された電気を、国が定めた価格で買い取るように電力会社に義務づけた固定価格買取制度(FIT)が導入されたのは2012年7月のこと。しかし、太陽光発電設備の電力系統への接続申し込みが殺到し、九州電力は今年9月25日に回答を保留すると発表、北海道電力、東北電力、四国電力も追随し、制度の行き詰まりが明らかとなった。問題はどこにあったのか、今後どうしていくべきか、21世紀政策研究所の澤昭裕・研究主幹に聞いた。

FITは脱原発のためではない

 ――接続保留問題の原因をどう考えるか。

太陽光発電の接続申請が殺到したことによる接続保留に関しては、いくつかの問題点がある。一つは、制度設計のテクニカルな抜け穴を悪用し、買い取り価格が高いうちに枠だけ取っておこうという動きが相次いだ。

もう一つはより本質的な問題で、再エネの固定価格買取制度(FIT)を先行して導入して失敗した欧州の経験に学ばなかったことだ。スペインやドイツなどでは再エネの賦課金で国民負担が膨張し、制度が行き詰る兆候が出ていたのにもかかわらず、日本は福島原発事故後のムードに飲まれた形で、後年度負担が重くなる制度設計の穴に目をつぶったまま、与野党関係なくFITを推し進めてきた。

FITはもともと二酸化炭素(CO2)を減らすための制度。日本でも「鳩山25%削減構想」の文脈で出てきたものだ。2011年3月11日の午前中(大震災直前)に閣議決定されたことからわかるように、脱原発のためのものではない。

ところが、震災後のムードの中で国民に十分理解されず、「原発を止めるには、再エネ拡大に伴うある程度の負担はしかたがない」といった“脱原発法案”のイメージで菅政権下において可決された。そして、累積的に積み上がる国民負担の構造や、太陽光優遇に偏重した買い取り価格の付け方に対する警告が“言論封殺”されてきた。

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