再エネの固定価格買い取りは、合法的談合だ 21世紀政策研究所の澤昭裕氏に聞く
FITは脱原発のためではない
――接続保留問題の原因をどう考えるか。
太陽光発電の接続申請が殺到したことによる接続保留に関しては、いくつかの問題点がある。一つは、制度設計のテクニカルな抜け穴を悪用し、買い取り価格が高いうちに枠だけ取っておこうという動きが相次いだ。
もう一つはより本質的な問題で、再エネの固定価格買取制度(FIT)を先行して導入して失敗した欧州の経験に学ばなかったことだ。スペインやドイツなどでは再エネの賦課金で国民負担が膨張し、制度が行き詰る兆候が出ていたのにもかかわらず、日本は福島原発事故後のムードに飲まれた形で、後年度負担が重くなる制度設計の穴に目をつぶったまま、与野党関係なくFITを推し進めてきた。
FITはもともと二酸化炭素(CO2)を減らすための制度。日本でも「鳩山25%削減構想」の文脈で出てきたものだ。2011年3月11日の午前中(大震災直前)に閣議決定されたことからわかるように、脱原発のためのものではない。
ところが、震災後のムードの中で国民に十分理解されず、「原発を止めるには、再エネ拡大に伴うある程度の負担はしかたがない」といった“脱原発法案”のイメージで菅政権下において可決された。そして、累積的に積み上がる国民負担の構造や、太陽光優遇に偏重した買い取り価格の付け方に対する警告が“言論封殺”されてきた。
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