太陽電池で世界席巻、中国トリナの対日戦略 メガソーラー一巡見据えた対応強化へ

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日本での戦略を語る陳曄・トリナ・ソーラー・ジャパン社長(撮影:梅谷秀司)
日本の太陽光発電市場は2012年7月の再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)導入後、急拡大を遂げ、太陽電池の出荷量もうなぎ登りにある。ただ、最近の一部大手電力会社による買い取り申請への回答保留が、市場拡大ムードに水を差す格好ともなっている。
その国内太陽電池市場では近年、メガソーラー向けを中心に外資の台頭が著しい。すでにシェアの約半分は外資が握る。中国・江蘇省常州市に本社を置き、ニューヨーク証券取引所に上場しているトリナ・ソーラーもその一社だ。同社は世界の太陽電池モジュール出荷量で2013年にはインリー・グリーン・エナジー(中国)に次いで2位。14年7~9月期にはついに世界1位を記録(NPDソーラーバズ調べ)した。2013年12月期の全売上高は17.7億ドル、純損益は7790万ドルの赤字だが、2014年1~6月期の売上高は9.64億ドル、純損益は3680万ドルの黒字と回復傾向にある。
世界トップクラスの中国メーカーは日本の太陽電池市場についてどう考え、どのような戦略を立てているのか。今年10月に日本法人のトリナ・ソーラー・ジャパン社長に就任した陳曄(チェン・イエ)氏に聞いた。

日本の太陽光市場は今がピーク

――トリナ・ソーラーは太陽電池モジュール出荷量で世界トップクラスに躍進している。

当社の高紀凡CEOは3年前、われわれ社員に対して“ティア1“の太陽電池メーカーを目指そうと語った。ティア1とは世界のトップ3を意味する。そして今年の目標はハッキリしている。世界でナンバーワンになることだ。

ナンバーワンの地位を確立するために重視しているのは、第一にR&D(研究開発)だ。特により高い変換効率を実現することにある。最近、変換効率で3度目の世界新記録を樹立した。その新製品は単結晶シリコンのセル60枚で構成されたモジュールで、335Wという世界最高のピーク出力を達成している。

2つ目は、顧客により付加価値のある製品を供給するための新しい製造ラインだ。それによって(耐久性に優れた)「両面ガラスモジュール」や(システム全体を監視する)「トリナ・スマート」の新製品を投入できた。3つ目は製造工程を管理する品質管理システムの完成。日本から導入したトレーニング体制も生かしている。そして4つ目は単なるモジュールメーカーではなく、再生可能エネルギーを通じて社会に対する責任を果たす企業になるということだ。

――世界の太陽電池市場をどう見ているか。

世界全体の出荷量は年々増加しており、2013年は約40ギガワット(GW)だったが、14年には50GW近くまで増加しそうだ。来年も増加が見込まれ、20年には約100GWまで拡大すると予想される。

われわれにとって最大市場は米国、次が中国。そして現在3番目が日本、次が欧州となっている。米国は広大な国土を擁しており、太陽電池市場は今後もブームの状況が続くだろう。中国では今年の出荷量は当初約13GWと見込まれていたが、11月には約10GWに修正された。しかし、全体的には成長が続いている。欧州市場も拡大が続くが、成熟化やダンピング問題(輸出規制)などによって、伸びはそれほど大きくないだろう。

日本については、2013年から2014年でピークの時を迎えつつある。2015年は出荷量がやや減少に転じると思う。しかし、私は先行きをポジティブに見ている。なぜなら、(FIT開始から2014年6月までに)設備認定を受けた太陽光発電設備の出力は約69GWだが、導入済みの設備出力はたった11GW程度にすぎないからだ。その差は50GW以上ある。

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